時代の変化を様々な形で実感〜東京モーターショー・会場を歩く(2)

「報道部畑中デスクの独り言」(第157回)

ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、「東京モーターショー2019」に出展された最新技術の数々について—

ベンチャー企業「A.L.Iテクノロジーズ」が出展した「空飛ぶクルマ」

2年に1度の自動車の祭典、東京モーターショー。電気自動車は百花繚乱。これまでの自動車らしくない様々な形の模索も始まっているようですが、「らしくない」と言えば、いわゆる「空飛ぶクルマ」も展示されていました。

「FUTURE EXPO」と名付けられたゾーンでは、そんな未来の乗り物が。バイクのようにシートに座り、空を飛ぶ…ドローンを有人飛行にしたような形です。

トヨタがJAXAと開発中の月面探査車も展示

出展していたのは「A.L.Iテクノロジーズ」というベンチャー企業でした。大手メーカー中心の祭典からの様変わりを、こういう点でも感じます。有人飛行と言えば、トヨタの月面探査車などの宇宙技術も展示されていました。

トヨタ自動車のプレスブリーフィング 来年の東京五輪でお目見えするという「eパレット」から豊田章男社長が登場

そんななか、日本自動車工業会会長でもあるトヨタ自動車の豊田章男社長の発言も注目されました。トヨタブースは、プレスブリーフィング30分前にはすでに足の踏み場もない状況。豊田社長は「VTuber」で「モリゾウ」に扮して2役をこなし、熱弁をふるいました。

「このブースには来年(2020年)発売されるクルマは1つもない。社会と街がつながり、人に移動やサービスを提供するモビリティばかりだ。未来のモビリティによってクルマは所有するものではなくなってしまうのか…そうはしたくはない」

クルマへの思いを語る豊田章男社長 VTuberも駆使し、熱弁をふるう

ときに大きく手を広げ、テンションの高い豊田社長のスピーチはやや前のめりな感もありましたが、クルマへの熱い想いとともに、自動車業界の危機感がにじむものでした。

ちなみに前編でお伝えした超小型EVはトヨタブースではなく、「FUTURE EXPO」のスペースに展示されています。

合間にパチリ 例年より少なめだが、モーターショーの”華”は健在(日立オートモーティブのブースから)

自動車メーカーのトップも、もはや「自動車」ではなく「モビリティ」と呼ぶ時代。さまざまな未来の乗り物が提案されていましたが、それにどれだけ「ワクワク」し、心に刺さるかはその人次第。

機械を操る感触に憧れた世代としては、やや寂しい気持ちがしたのも事実です。私自身、旧い人間ということかもしれませんが、これが時代の変わり目というのでしょうか。

日立オートモティブが開発したステレオカメラ(前回出展のものより小型化 確実に進化している)

一方、部品メーカーも健在。日立オートモティブのブースで展示されていたステレオカメラは、2年前に比べて小型化。地面の凸凹も高度に認識され、自動運転に欠かせない衝突回避に寄与します。

アルプスアルパインのブース 自動運転やシェアリングにつながる「縁の下の技術」をアピール

アルプスアルパインのブースではカーシェアリング時代に備え、スマートフォンがクルマのキーになる技術が披露されていました。そのデータ処理は「ブロックチェーン」でなされるそうです。

そんな一見地味ですが、最先端の世界を縁の下で支える技術を感じることができます。

スズキからはこんな提案も モバイルルーム自動運転車「HANARE(ハナレ)」

「青海エリア」「有明エリア」に広がった今回のモーターショー、ポイントは多岐にわたりました。報道公開日の私の歩数計は2万歩を超えました。1日ですべてを網羅するのはなかなか厳しいかもしれません。

この日は森田耕次解説委員とともに取材に赴き、ニッポン放送「ザ・フォーカス」でも取り上げましたが、私、森田解説委員、アシスタントの増山アナウンサーにも、クルマに対する価値観に違いがありました。だからこそクルマはおもしろいのかもしれません。

eスポーツのブースも設けられた 反響が注目される

最後に、何よりも進んでいたと思うのが「ペーパーレス化」。各社のプレスキットは、URLやQRコードが記されたカードがほとんどでした。IT時代、環境問題への対応でしょうか。一昔前はカタログがキャリーバッグいっぱいになり、重さでよたよたしながら取材から帰ったものでした。

そんな文字通りの「重圧」からは解放されましたが、一方で味気なく、寂しい思いもします。これもまた時代の流れと言えるのでしょう。(了)

合間にパチリ モーターショーの”華”は健在(データシステムのブースから)

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