詐欺・悪質商法ジャーナリスト多田文明〜アンケート電話で「会いましょう」と美女が言う「デート商法」のからくり

黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、詐欺・悪質商法ジャーナリストの多田文明が出演。若い男性の恋愛感情に訴える「デート商法」について語った。

ニッポン放送「あさナビ」

黒木)今週のゲストは詐欺・悪質商法ジャーナリストの多田文明さんです。これまで100件以上の詐欺、悪質商法の現場に潜入なさっているということです。潜入した詐欺現場でのエピソードなどを教えていただけますか?

多田)2022年に成人年齢が引き下げられます。これまでは20歳から成人だったところが、18歳から成人になってしまうのです。そうなるとクレジットカードも作れるし、お金も借りられるので、悪い業者たちは18歳〜19歳あたりを狙いはじめます。そこで、若い人も引っかかってしまうだろうなという手口について、潜入した体験からお話ししたいと思います。

黒木)はい。

多田)あるとき、「もしもし、アンケートに答えてもらえませんか?」と、女性から電話がかかって来ました。「いま、お一人暮らしですか?」とか「いま独身ですか?」など、いろいろと聞かれました。当時30代で独身だったので、「独身です」なんて言ったり、話はどんどん弾むのですよ。可愛らしい声の女の人でした。それで話して行ったら、「すごく面白いですね」と言うのですよ。褒めるのが上手いのです。話が盛り上がって、アンケートの話なんてどこかへ飛んでしまいました。そのうち、「ちょっと会いたいですね」と向こうが言うわけです。

黒木)はい。

多田)私も話が合うし楽しいから、こんな電話がきっかけで、新しい出会いでもあるのかなと思ったのです。

黒木)それは多田さん自身、もう詐欺だと疑っていたのですか?

多田)まったく。

黒木)本当に楽しいと思われていたのですか?

多田)はい。基本的に悪質業者は、入り口ではわからないものです。悪質業者は優しいし親切だし、褒めることが上手いし。

黒木)そのときはまだ、いまのような職業ではなかったのですか?

多田)いまの職業でした。

黒木)少しは疑っていらした。それで、「会いましょう」と言われて。

多田)会いました。

黒木)はい。

多田)会ったら、綺麗な人なのですよ。

黒木)へえ。

多田)こんな出会いがあるのかと思いつつ。それで、食事などに行くのかなと思ったら、「私のすべてを知ってほしい」と言うのですよ。

黒木)女優より女優ですね。

多田)それで「すべて、ええ、何でも、はい」と言ったら、「この近くに私の働いている職場があるから、ちょっとそれを知ってほしい」と言うのです。

黒木)どんどん疑わしい方ですね。

多田)行ったら私と彼女の2人だけで、とある宝石店でした。宝石がたくさんありまして、宝石にはほとんど関心がないのですが、宝石の説明をし始めるのですよ。「宝石はこんな感じで、あんな感じで」と。「よかったら、せっかくだからちょっとつけてみませんか?」と言うわけです。ネックレスなんて下げたことがないですから、「ええ」と言いながら躊躇していると、無理やりつけて「素敵ね」と耳元で囁くのです。

黒木)ええ。

多田)そんな、囁かれることなんてないですから。

黒木)ええ。

多田)それで、「どうですか?」と言うわけです。

黒木)はいはい。

多田)どうですか、と言われれば「悪い」とは言えないではないですか。このあと食事をするかもしれないし、「ああ、いいですね」と言ったら、「ありがとうございます」と目を見て握手するのです。「オレに好意があるのかな」と思ってしまうくらい。そんな状況のなかでどうですかと言われて、「まあ、このまま付き合えるなら」みたいなね。結婚まで匂わせて来るのですよ。

黒木)だって、初めて会った人でしょう?

多田)そう、恋愛感情を抱かせるという手口なのです。「デート商法」と言います。「このダイヤモンドを将来、自分のような結婚できる人に、指輪に付け替えてあげるといいですよ」とか、「ネックレスのダイヤモンドという手もあるのですよ」なんてね。そんな話をして「いくらなの?」と聞くと、180万円。

黒木)はい。

多田)「どうですか?」と言われたのですが、ちょっと高いという話をしました。こういうときは、最終的に「無理だ」と言って、席を立って帰るしかないのですよ。こんな綺麗な人と、このあと食事に行けるかもしれない、結婚できるかもしれないと思っていたのですが、席を立って「帰る」と言ったら、「180万も決断できないのか!」と、すごく怒鳴るのですよ。やっと本性が見えたのですね。それで何とか逃げ帰りました。若い人は恋愛感情を抱かせられると、いろいろなものを購入させられてしまうという悪徳商法があるのです。

ニッポン放送「あさナビ」

多田文明(ただ・ふみあき)/ 詐欺・悪質商法ジャーナリスト

■1965年、北海道旭川市出身。
■大学卒業後、ルポライターとして活動をはじめ、2週間に1度は勧誘されるという自らの経験を活かし、キャッチセールスの評論家に。
■実際にキャッチセールスや詐欺行為など怪しい勧誘について行き、その現場を経験。これまでに街頭からのキャッチセールス、アポイントメントセールスなどへの潜入は100ヵ所以上で、現在は詐欺・悪質商法、ネットを通じたサイドビジネスにも精通するジャーナリストとして活動。
■代表的な著書は『ついていったら、こうなった』『クリックしたら、こうなった』『なぜ、詐欺師の話に耳を傾けてしまうのか?』などがある。

ENEOSプレゼンツ あさナビ(11月19日放送分より)
FM93AM1242 ニッポン放送 月-金 6:43-6:49

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