『海辺の映画館―キネマの玉手箱』映画は未来を変えられる

【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第876回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

今回は、7月31日に公開された『海辺の映画館―キネマの玉手箱』をご紹介します。

『海辺の映画館―キネマの玉手箱』

エネルギッシュなパワーが爆発! 大林宣彦監督が放つ圧倒的な映像世界!!

2020年4月10日、この世から旅立った日本映画界の巨匠・大林宣彦監督。新型コロナウイルスという未曾有の危機がなければ、最新作『海辺の映画館―キネマの玉手箱』の劇場公開初日となる日でした。

2016年にステージ4の肺がんと診断され、余命宣告を受けながらも、自らの命を吹き込むように映画をつくり続けた大林監督の、惜しくも遺作となってしまった本作が、ついに映画館にお目見えしました。

『海辺の映画館―キネマの玉手箱』

『海辺の映画館―キネマの玉手箱』のあらすじ

尾道の海辺にある唯一の映画館“瀬戸内キネマ”が閉館を迎えた。嵐の夜となった最終日のプログラムは、「日本の戦争映画大特集」というオールナイト上映。

映画を観ていた毬男、鳳介、茂は、突然劇場を襲った稲妻の閃光に包まれ、スクリーンの世界にタイムリープする。彼らが旅したのは、江戸時代から、乱世の幕末、戊辰戦争、日中戦争、太平洋戦争の沖縄……と、戦争映画の世界。

そして映画のなかで出会った希子、一美、和子ら無垢なヒロインたちが、戦争の犠牲となって行く姿を目の当たりにし……。

『海辺の映画館―キネマの玉手箱』

『海辺の映画館―キネマの玉手箱』のみどころ

大林宣彦監督が20年ぶりに故郷・尾道で撮影した本作。戦争の歴史を辿りながら、無声映画、トーキー、アクション、ミュージカルとさまざまな映像表現を交え、ストーリーが展開して行きます。

映画が持つ可能性を最大限に詰め込んだファンタジックな世界観は、まるで大林監督の頭のなかを覗き見したかのよう。

それと同時に、生きることの大切さや、大林監督が生涯を通じて訴え続けた戦争の不毛さがダイナミックに描かれており、これぞ集大成と呼ぶにふさわしい1作となっています。

『海辺の映画館―キネマの玉手箱』

「映画で過去を変えることはできないけれど、映画は未来を変えられる」。これは大林宣彦監督が生前、常々おっしゃっていた言葉です。

大林監督が幼少のころから持ち続けていた“映画への情熱”と“平和への願い”が凝縮された、約3時間におよぶエンターテインメント。“大林版『ニュー・シネマ・パラダイス』”との呼び声も高いパワーみなぎる本作を、いまこそ全身で受け止めて。

『海辺の映画館―キネマの玉手箱』

<作品情報>

『海辺の映画館―キネマの玉手箱』

2020年7月31日(金)からTOHOシネマズシャンテほか全国公開
監督・脚本・編集:大林宣彦
脚本:内藤忠司、小中和哉
出演:厚木拓郎、細山田隆人、細田善彦、吉田玲(新人)、成海璃子、山崎紘菜、常盤貴子
(C)2020「海辺の映画館 キネマの玉手箱」製作委員会/PSC
英題:Labyrinth of Cinema
公式サイト https://umibenoeigakan.jp/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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