自然と向き合うことで知ることができる「大切なもの」

黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に山と自然のスペシャリスト、ネイチュアリング・スクール「木風舎」代表の橋谷晃が出演。山に登ることの素晴らしさについて語った。

橋谷晃

黒木)今週のゲストは、山と自然のスペシャリスト、ネイチュアリング・スクール「木風舎」代表の橋谷晃さんです。山岳ガイド、ネイチャーガイドとして活動していらっしゃいますが、橋谷さんは山の頂上に登ることよりも、山を楽しむ、そのプロセスを大切にしているということなのですが、そうなのですか?

橋谷)山登りは辛いけれども、我慢して歩いていたら、山頂についてご褒美が待っている、というイメージがあると思います。確かに我慢しなければいけない局面もあるし、山頂は素晴らしいのですが、それだけではないのです。歩いていて、「こんなところに、こんなきれいな花があったよ」とか、見上げてみると、「葉っぱ透かして来る光がステンドグラスみたいだな」とか、「この風気持ちいいな」というように、楽しいことがたくさんあって、楽しんでいるうちに、「あれ、いつの間にか山頂ついちゃったよ」というような山登りが自分にとっては理想だと思っています。これは遊びですから、どのようなスタイルがあってもいいのですけれど。

黒木)自然のなかで私たちは生きていますから、自然の恵みを感じるということは大切なことですよね。

橋谷)我々も生き物ですし、自然のなかで生かされている自分、というのを感じる時間もたまにはいいのかなと思います。

黒木)自然体験を通して、人と自然、そして人と人、人と社会、これらのいい関係をつくって行きたい、という志がおありなのですよね?

橋谷)私がこの仕事を始めた理由の1つに、人と自然の関係がもっと近くなって欲しいということがあります。それに対して、人間は「こういうことをやってしまったのか」というような悲しくなることもあります。自分の好きなものは、真剣に考えるではないですか。好きな人のことは、とても大事に真剣に考えますよね。同じように、もっとみんなに自然を大好きになってもらえれば、きっと自然そのものがいいな、楽しいな、と思う人が増えて来ると思うのです。そのようなこともこの仕事を始めた動機の1つになっています。

黒木)橋谷さんご自身も自然に触れることで、ご自分の人生の考え方が変わりましたか?

橋谷)「自分の人生のなかで、何がいちばん大事なものなのだろうか」ということも、自然のなかで得たような気がします。紅葉した1枚の葉っぱがあって、それがグラデーションでとても綺麗で、「きょうはこの葉っぱを見ただけで幸せだな」と思えるときがあります。若いころは、自分が何か名を残したい、山ならば、「もっと高いところに登りたい」という時代もありました。初めてのルートを登れば、みんな「すごいね」と言ってくれる。それも1つの成果だとは思うのですが、「1枚の葉っぱ見て俺幸せだったんだよ」と言っても、誰もすごいね、とは言ってくれません。でも、自分にとっていちばん大事なことは、後者の方なのではないかと思うようになりました。自分の心がどれだけ幸せか、きょうは幸せな気持ちで生きたか、ということが大切なのではないかと思うのです。

橋谷晃

橋谷晃(はしや・あきら)/ネイチュアリング・スクール「木風舎」代表

■1982年、ネイチュアリング・スクール「木風舎」を設立。代表を務める。
■山歩きの楽しみ方を教えてくれるネイチャーガイドとして活躍。
■山頂を目指すだけではない、自然を楽しむ山歩きを提案。登山、トレッキング、ネイチャースキー、自然感察プログラムなど年間100回ほどのスクールやツアーを開催。トレッキングとネイチャースキーのパイオニアとして知られる。
■NPO法人自然体験活動推進協議会、NPO法人日本エコツーリズムセンターなど、NPO活動を通して、日本の自然体験の活性化にも尽力。
■NHK・Eテレ『チャレンジ!ホビー・あなたもこれから山ガール』の講師や、テレビ朝日『大人の山歩き』のガイドとしてレギュラー出演するなどメディア出演多数。講演・イベント出演などでも全国を飛び回る。

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