犬の名前ランキングをきっかけに“名前の使い分け生活”を振り返る

【ペットと一緒に vol.218】by 臼井京音

ニッポン放送「ペットと一緒に」

愛犬の名前をいくつか使い分けるという生活を、筆者は10年ほど続けています。

今回は「犬の名前ランキング2020」の結果を伝えるとともに、筆者と愛犬とのユニークで楽しい“名前使い分け生活”を紹介します。

 

「犬の名前ランキング2020」の結果は?

ペット保険のアニコム損害保険株式会社が、11月1日の「犬の日」(※ワンワンワンにちなむ)に合わせて、毎年恒例の犬の名前ランキングを発表。これは、ペット保険「どうぶつ健保」に新規契約した0歳の犬、約12万4000頭を対象に実施したものです。

2020年は、総合ランキングで「ココ」が10連覇を達成しました。2位は、昨年(2019年)11位だった「ムギ」がランクアップ。もち麦ブームなど、飼い主の健康志向を反映した結果かも知れません。

犬の名前の総合ランキング1位〜10位(アニコム発表)

女の子部門では、1位はココ、2位はモモ。

男の子部門では、昨年2位だった「ソラ」が1位に。僅差で「レオ」が2位になっています。

男女別の名前ランキング(アニコム発表)

なお、男女別に上位30の名前の表記を集計したところ、男の子はカタカナの名前が6割を超え、女の子はひらがなの名前が5割を超える結果になったそうです。

漢字で表記する名前では、男の子では「空」が1位で「麦」が2位、女の子では「麦」が1位で、2位に「花」、3位に「茶々」、4位に「凛(りん)」と続きます。

ちなみに、筆者の愛犬はカナカナ表記で「リンリン」です。名前の由来は、筆者が大好きなパンダから。

ドッグトレーニング留学中のオーストラリアで子犬を迎えたのですが、ホストファミリーなどオーストラリア人に「“R”or“L”」と表記に関してよく尋ねられたのを思い出します。日本人である筆者自身が発音しやすいという理由で、ローマ字表記は“LinLin”にしました。

同居しているリンリンの娘犬は、誕生時に「ミィ」とあげた産声が印象的だったので「ミィミィ」と命名しました。

 

日常生活で名前を使い分ける

オーストラリアで犬の行動カウンセリングを学んで帰国した筆者が、獣医師でありパピートレーニングの先駆者であるイアン・ダンバー博士のセミナーに東京で参加した際に、衝撃を受けたアイデアがあります。

それは、愛犬の名前を使い分けること。よく、愛犬の名前を呼んで叱ったり、愛犬にとって好ましくないことが起こる前に名前を使って呼び戻しをしないほうがいいと言われます。

名前とネガティブなことが関連づけられると、愛犬は「呼ばれたけど何だろう?」と警戒したり不安になったりする可能性があるからです。

名前はあくまでも、愛犬が聞いてうれしい気持ちやワクワクできる気持ちになるものであるべきで、愛犬と飼い主さんとの信頼関係を壊さないためにも、犬の名前は大切に扱いたいものです。

散歩中に名前を呼んでアイコンタクト(撮影協力:フクオくん)

そのため、名前を使わずに、たとえば愛犬がテーブルに前足をかけていたら「アッ」や「コラッ」と注意を喚起したり、「オスワリ」など違う行動に置き換えるのが好ましいでしょう。

けれども、もし愛犬がテーブルの上から焼き鳥の竹串を盗んで咥えていたら、つい「ミィミィーーーッ」などと名前を絶叫してしまうのではないでしょうか? そこで、ダンバー博士による、名前を使い分けるというアイデアが活きて来るのです。

たとえば、危険を感じて愛犬に大きな注意を促したいときに使用する名前を「ミンッ」、必ず成功させたい呼び戻し用の名前を「ミィミィ」、こちらに少し注目して欲しいときには「ミィちゃん」といった具合です。

名前を呼んでもいないけれど、筆者をじーっと見つめるミィミィ

飼い主の気持ちが伝わりやすい

10年ほど前の筆者にとっては、新鮮でおもしろいと興味をひかれたので、ダンバー博士のアイデアをさっそく日常生活で実践してみました。

散歩中に鳩に向かって突撃を始めてしまったミィミィに力強く「ミンッ」と呼ぶと、ふと我に返ったこともあります。

名前の使い分けを始めて、不思議なことに気づかされました。愛犬の名前を呼ぶ際、筆者自身がどんな気持ちで、愛犬に筆者のどんな思いを伝えたいのかを事前に少し立ち止まって考えるようになったのです。

もちろん、愛犬の身に危険が迫っているようなときは、そのような余裕もありませんが。

「ミィちゃん」と声を掛けられてチラリと筆者に目をやる愛犬

愛犬のミィミィは、筆者が「あぁ、ミィミィかわいいなぁ〜。ちょっと呼びかけたいな」と思った際には「ミィちゃん」と呼ばれることを、しばらくすると理解するようになりました。

「ミィちゃん」と筆者が声を出すと、ミィミィは足元のドッグベッドに丸まったまま耳だけ動かして筆者に注意を向けたり、顔だけを上げて筆者をしばらく見つめてくれたりします。心と心が、やわらかく通っているような実感を得られるしあわせなひとときです。

少し声を大きめに「ミィミィ〜」と呼ぶと、ミィミィは必ず自分にいいことが起こると信じているので、どこにいても飛んで来ます。これを応用して、物音に対して警戒吠えを始めたミィミィを呼び戻して、吠えをストップさせています。

警戒吠えをしているからと言って、名前を呼んで叱ることはしません。呼び戻しさえできれば、「コラッ」という言葉で叱る必要もありません。叱るという行為が少ない生活は、双方にとってストレスが減ると実感しています。

警戒吠えをやめて筆者のもとへ「ミィミィ」の呼び声で飛んで来るところ

たかが名前、されど名前。これからも愛犬の名前を大切にしながら、さらに愛犬との関係性を深めて行きたいと思っています。

連載情報

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著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007〜2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。

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