超有名レストランで巻き起こる想定外のサプライズ『ザ・メニュー』映画レビュー「背筋がぞわっとするような濃い味のスリラー」

一度でいいから行ってみたいレストランってありますか? 予約で数ヶ月待ちとか、一見さんお断りとか、いろんな理由でハードルが上がっていると余計気になってしまいますよね。11月18日(金)公開の映画『ザ・メニュー』は、そんな世界中のグルメから羨望の的となっている超有名レストランを舞台にした、背筋がぞわっとするような濃い味のスリラーです。

選ばれた少数の客たちだけが来店を許されるレストラン<ホーソーン>。カリスマシェフのスローヴィク(レイフ・ファインズ)が生み出す奇跡のメニューを味わうため、今日も世界中から、俳優(ジョン・レグイザモ)、料理評論家(ジャネット・マクティア)、超有名IT企業のエグゼクティブたちなどが、レストランがある孤島に向かう船に乗り込みました。そんなメンバーの中で、やけに興奮している若者タイラー(ニコラス・ホルト)とその連れのマーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)はちょっと場違いに見えなくもありません。

野菜や肉などあらゆる材料をすべて調達できる島内を案内され、やっと客たちはテーブルに着きますが、食事が始まる前にいろいろと注意事項を言い渡されます。しかしそんな不自由も、自分達が選ばれた客であり、シェフの料理を味わえる世界でも一握りの人間であるという優越感の前ではどうってことありません。コースが始まり、客たちは豪華で独創的な料理の数々に舌鼓を打ちますが、ただ一人マーゴだけは何か納得がいかないと感じていました。

見知らぬ人々が孤島に集められて何か事件が起きるといえば、アガサ・クリスティーの名作『そして誰もいなくなった』を思い出す人も多いでしょう。未読の人は映画鑑賞後にぜひ読むことをおすすめします。読んだことがある人なら本作を観て「ほう、そう来るか!」とニヤリとすること間違いありません。先に進むにつれてどんどん展開が読めなくなってしまう濃厚な物語は、レイフ・ファインズ演じるカリスマシェフの圧倒的な存在感と、勝ち気で冷静な判断力を持つアニャ・テイラー=ジョイ、そして何かを隠しているニコラス・ホルトの不審な態度など、俳優たちの多彩な演技でさらに謎を増していき、観客をふりまわします。果たして結末には何が待っているのでしょうか。この秋最も奇妙な味のスリラー、ぜひご堪能ください。

【書いた人】♪akira 翻訳ミステリー・映画ライター。ウェブマガジン「柳下毅一郎の皆殺し映画通信」、翻訳ミステリー大賞シンジケートHP、「本の雑誌」等で執筆しています。

『ザ・メニュー』 ■監督:マーク・マイロッド「メディア王〜華麗なる一族〜」(TV シリーズ) ■製作:アダム・マッケイ『マネー・ショート 華麗なる大逆転』 ■出演:レイフ・ファインズ、アニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト、 ホン・チャウ、ジャネット・マクティア、ジョン・レグイザモ ほか ■全米公開:11 月 18 日 ※日米同時公開 ■配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

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