本の趣味が合う人と話すのがどんなに楽しいことか! 『ガーンジー島の読書会の秘密』:映画レビュー

「帰ったらすぐ本を読もう」 − 観たらきっとそんな気持ちになる映画、『ガーンジー島の読書会の秘密』が公開されました。

舞台は第二次世界大戦終戦直後の1946年。一人前の作家として歩み始めたジュリエット(リリー・ジェームズ)のもとに、一通の手紙が届きます。ガーンジー島から来たその手紙には、ジュリエットがかつて古書店に手放した一冊の本が、戦争で書店も図書館も無くなったガーンジー島に住む人々にとても喜ばれたと書いてあったのです。そんな嬉しいメッセージに、ジュリエットはさっそく送り主である島民のドーシー(ミキール・ハースマン)と文通を始めます。彼が所属している読書クラブ”ガーンジー島の文学とポテトピールパイの集い”やお気に入りの本について便りを交わすうちに、いてもたってもいられなくなったジュリエットは、思い切ってガーンジー島へと旅立ちます。

実はガーンジー島のあるチャネル諸島は、大戦中にイギリスで唯一ドイツ軍の占領下にありました。作家としての興味もつのり、編集者で親友のシドニー(マシュー・グード)を説得し、ワクワクしながら島に渡ったジュリエットを、読書会のメンバーたちは歓迎してくれました。しかしクラブの創設者について話を聞きたいと言ったとたんに、彼らの態度は少しずつ変わってしまったのです。

本好きな人なら、本の趣味が合う人と話すのがどんなに楽しいことかわかりますよね! 自分が持っていたお気に入りの本が、まったく知らない遠くの人たちも楽しませていたというエピソードだけでも、ジュリエットの幸せな気分のおすそ分けをもらった気になります。

物語は、読書クラブの創設者エリザベス(ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ)の秘密と、ジュリエットの人生の悩み、そして決断に至るまでを、美しい自然をバックに情感豊かに描いています。原作はメアリー・アン・シェイファーとアニー・バロウズによるベストセラー、『ガーンジー島の読書会』(木村博江訳/イースト・プレス)。イギリス南西部のデヴォン州でロケが行われました。

感動的なストーリーと美しいヴィジュアルもさることながら、登場人物たちのキャラクターがどれも生き生きとしていて、スクリーンから温かみが伝わってくるようです。そして、TVシリーズ『ダウントン・アビー』のファンなら見逃せないキャスティングです! ドラマ内でローズ役だったリリー・ジェームズをはじめとして、シビル役のジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、イザベル役のペネロープ・ウィルトン、ヘンリー役のマシュー・グードが出演しています。『ゲーム・オブ・スローンズ』のファンの方は、ミキール・ハースマンの違った魅力をご期待ください!

ところで読書会って、未体験の方はどんなイメージを抱いていますか? 本作では朗読したり暗唱したりするシーンがありますが、読書会歴8年あまりの筆者が知る限りでは、日本ではあまりそうした活動は少ないと思われます。おもに課題書について感想を語り合ったり、お薦めの本を紹介しあったりという、ファン交流会的な集まりが多いです。この映画を観たら、ぜひ一度試してみてください。きっと楽しいですよ!

『ガーンジー島の読書会の秘密』
http://dokushokai-movie.com/

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【プロフィール】♪akira
翻訳ミステリー・映画ライター。ウェブマガジン「柳下毅一郎の皆殺し映画通信」、翻訳ミステリー大賞シンジケートHP、「映画秘宝」等で執筆しています。

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