【今日の一冊】道ひらく、海わたる

レビュー

プロのスポーツ選手はいかにして一流たり得るのか――そうした好奇心を余すところなく満たしてくれるのが本書である。
正直に言えば、要約者は野球の試合をほとんど観ない。だから「大谷翔平」という名前を知っていた程度だった。ただ、厳しいと言われるスポーツの世界。そこに身を置いている人物なら、おそらく一般人にも学びになることがあるだろうと期待して手に取った一冊だった。だが本書は、そんなちっぽけな期待を満たすだけでは済まなかった。読み始めるやいなや、大谷選手のブレない意志の強さとあくなき向上心、野球を楽しいと感じる純粋さにどうしようもなく惹きつけられた。それと同時に、自分の中からもたぎるものが湧き起こってくる感覚を得た。
何かを心から楽しめるというのは、自分を信じているからこそかもしれない。成功しようが失敗しようが、結果はあまり重要ではないのだ。なぜなら、すべては自分が追い求めるゴールにつながっているから。必ず自分はそこへたどり着くという確信にも似た自信、すなわち自分を信じる力があるからこそ、彼は野球を純粋に楽しむことができるのだろう。対して自分はどうだろうか、とつい考えてしまう。
一流はいかにして一流たり得るのか。努力の質量や才能といったものの影響は大きいだろうが、もっと根源的な違いを大谷翔平というその人に見た。本書は巷の自己啓発セミナーがかすんでしまうほど濃密な内容と言っても過言ではない。野球への興味の有無は関係ない。自分のために今すぐ手に取るべき一冊だ。

本書の要点

・大谷にとって、成功するかどうかは重要ではない。結果よりも、誰もやったことのないことにチャレンジできることに喜びを覚える。
・大谷は、やりたいことはやればいいし、やりたくなければ自己責任でやめればいいという両親の方針のもと、いつも自分で決断を下していた。
・先入観は可能を不可能にする。自分にできるイメージを持てなければ実現はできない。
・河川敷の石も見る角度によって、あるいは器に入れることで石に価値が生まれることがある。それは選手の指導にも当てはまる。



道ひらく、海わたる
佐々木亨 (扶桑社)

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