【今日の一冊】さらば、GG資本主義

レビュー

どこまでも加速し続ける日本の高齢化。高齢化が引き起こす問題として真っ先に挙げられるのは、財政問題だ。たしかに、年金や医療・介護費用を維持するのが難しいというのは、深刻な事態である。しかし、この高齢化社会は、日本の会社や経済においても、より広範囲に「みんなの成長」を妨げているのではないか――。著者の指摘に大いに共感させられ、要約者は最後まで一気に本書を読み進めてしまった。
著者は、「資産運用のプロ」といえるファンドマネージャーの藤野英人氏。主に日本の成長企業に投資する投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用し、驚異的な運用成績を上げている。ひふみ投信は、2017年の「カンブリア宮殿」で取り上げられ、世代を超えて共感の嵐を生んだことも記憶に新しい。投資への無知や恐れがまだまだはびこる日本において、投資の意義を啓蒙している。そんな著者が、データや経験をもとにあぶり出す、日本社会の「不都合な真実」には、ただただ圧倒されるばかりだ。
高齢世代がいつまでも経済の中心を担い、牛耳り続けているために、若者が活躍するチャンスがやってこない――。この構造的問題を「GG資本主義」と名づけ、メスを入れていく様は痛快そのもの。しかも、決して暗澹たる読後感は残らない。「GG資本主義」脱却に向けて、すでに変化の兆しが生まれていることが明らかになるためだ。何より、著者が提示する処方箋を読めば、「日本にこれほどのチャンスがあるのか」と、むしろ明るい展望を抱けるようになるだろう。現代最強の投資家が語る、真の日本活性化のストーリーをお楽しみいただきたい。

本書の要点

・高齢世代が重要ポストに居座り、企業の新陳代謝を阻んでいる。この構造的問題を、著者は「GG資本主義」と呼ぶ。
・上場企業の売上高や株価のデータでは、若い人に会社を任せればうまくいくことが明らかになっている。
・個々人がもっと仕事を楽しむためには、「オーナー・シップ(当事者意識)」をもって自分の道を切り開く「虎になる生き方」がおすすめだ。とりわけ、会社の中で存在感を発揮する「トラリーマン」の存在は、日本活性化においても欠かせない。



さらば、GG資本主義
藤野英人 (光文社)

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