【今日の一冊】武器になる哲学

レビュー

あなたの周りにも、分析や視点が鋭い人がひとりはいるのではないだろうか。同僚や友人のみならず、冷静な論考が特徴のブロガー、テレビでよく見かけるコメンテーター、新聞で連載しているコラムニストなど、きっと思い浮かぶ人がいるだろう。
では、彼らのような鋭い視点は、どうすれば身に付けることができるのだろうか。孔子は『論語』の中で、「述べて作らず、信じて古を好む」と主張している。つまり、自力の創作よりも過去の偉人が残した古典を咀嚼し自分の知識にするほうがよいということだ。孔子ですら、自分よりも古典のほうがすばらしいと認めていたのだ。私たちにとっては言わずもがなであろう。
本書では、知の偉人たちの鋭い指摘が50個紹介されている。本書に際立って特徴的なのは、50個のコンセプトについて、ビジネスシーンや日常生活においてどう活用できるかが明確であることだ。コンサルタント出身の著者・山口周氏は、実際に、哲学を学ぶことで、ビジネスシーンにおいてさまざまなメリットがあったという。クライアントから「よくそんなこと、思いつきましたね」とアイデアを賞賛されたり、「いま、何が起きているのか」という問いに対して答えを導き出すヒントを得られたりしているそうだ。
哲学に挫折した経験がある人も、安心してお読みいただきたい。本書は知的スリリングさに満ちた、先をグイグイ読み進めたくなる稀有な哲学入門書である。

本書の要点

・哲学者の考察から得るべきは、プロセスからの学びだ。哲学者がどのようにして考え、結論に至ったのかという思考や問いの立て方を学ぶべきだ。
・社会心理学者セルジュ・モスコヴィッシは、差別が生まれるのは、異質性でなく同質性が高いからだと指摘する。格差や差別によって生じる妬みは、社会や組織の同質性が高まれば高まるほど生まれる。
・計算機学者アラン・ケイは、「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」という。「未来はどうなるか」という問いではなく「未来をどうしたいか」という問いが重要だ。



武器になる哲学
山口周 (KADOKAWA)

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