【今日の一冊】日本の分断


日本の分断
吉川徹 (光文社)


レビュー

私たちは、自分たちが生きる現代日本を構成する人びとについて、どれだけ知っているだろうか。当たり前のことだが、社会には、自分が全く接したことのないタイプの人びとがいる。私たちは、彼ら彼女らとは全く異なる環境で生きているために、その人たちの生活や考え方を十分に理解できないし、推測すら容易ではない。しかし同じ日本社会に生き、自分と同じく日本社会を支える立場にある人びととして、彼らの存在は無視できないはずだ。
本書は、現代日本社会における格差の諸問題を「分断」という新たな切り口で捉えなおしている。生年とジェンダー、そして学歴という要素によって現役世代を8つのセグメントに分け、各セグメントを構成する人びとの生活を浮き彫りにする。ここでの学歴とは、どの大学を卒業したかという大学銘柄のことではなく、大卒か否かの違いである。そのうえで著者は、社会においてあまり言及されない「学歴」という要素が社会経済的地位を決定している事実を明示している。
本書によると、8つのセグメントのうち、若年非大卒男性たちは切り離された存在だという。なぜ彼らと他のセグメントとの間に大きな隔たりがあるのか? 日本社会を支える上で、彼らの力が不可欠なのはなぜか? 本書を読めば、自分が置かれた立場をはっきりと自覚するとともに、「彼ら」の存在を気にせずにはいられなくなるに違いない。

本書の要点

・現代日本において「学歴」は、社会経済的地位を決定する上で根幹をなす要素である。非大卒者層は、雇用機会と待遇において大きな不利益を被っている。
・現役世代は、生年とジェンダー、学歴の3つの観点から、8つのセグメントに分けられる。セグメントごとに、次世代を産み育てる、この先の日本社会を育てるなどといった異なる役割を担っている。
・8つのセグメントのうち、「レッグス」と名付けられた若年非大卒男性は、労働市場に最も長く居続けなければならないにもかかわらず、十分に力を発揮できない状況にある。

flier(フライヤー)で続きを読む<AD>

フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に1,500タイトル以上の要約を公開中です。@niftyニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。