【今日の一冊】炎上とクチコミの経済学


炎上とクチコミの経済学
山口真一 (朝日新聞出版)


レビュー

インターネットを使っていて“ネット炎上”を目にしたことがないという人は、おそらくほとんどいないはずだ。それだけネット炎上はありふれた現象で、本書によれば年間1000件以上発生しているという。
その一方でネット炎上が深刻化した際の被害は凄まじい。うまく対応できなかった場合、社会的に抹殺されることすらありえる。多くの日本の企業がソーシャルメディア活用を躊躇しているのも、こうしたリスクを踏まえてのことなのだろう。
だがソーシャルメディアは実りも大きい。リスクを恐れてチャンスを逃すには、あまりにもったいない話だ。著者の指摘するように、重要なのはネット炎上の実態を正しく把握し、過度に恐れないことである。
本書はこれまで起きたいくつもの炎上事件を参照しつつ、ネット炎上がどのような性質をもったものなのかを分析、その対策を講じている。いちネットユーザー視点から見ても、書かれていることは至極まっとうで、これからのソーシャルメディア活用における基礎教養といってもいい。
個人としても企業としても、ネット炎上はまったく他人事ではない。巻きこまれないように意識することはもちろんのこと、巻きこまれたときにどう対応するかで、その後の運命は大きく変わってくる。
ネット炎上の実態を正しく理解し、ソーシャルメディアを最大限活用していきたいのであれば、読むべき一冊はこれだ。

本書の要点

・ソーシャルメディアがビジネスに与える影響は大きい。ネット炎上を回避しつつ、うまくソーシャルメディアを活用するべきである。
・炎上もクチコミも「一部の人の声が非常に大きい」性質をもっており、極端な意見や批判的な意見に偏りやすい。
・炎上に書きこむ人の多くは「正義感」をモチベーションとしている。
・大炎上する背景には、ネットメディアやマスメディアの影響がある。
・炎上してしまった場合、重要なのは事実関係の公表に徹することだ。迅速な謝罪と今後の対応の明確化が求められる。

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