【今日の一冊】第4次産業革命時代の医療 〜未来を描く医師30人による、2030年への展望〜 医療4.0


医療4.0
加藤浩晃 (日経BP社)


レビュー

わたくしごとになるが、ちょうどこの本を手に取るのと前後して、ある大学病院で検査から初期の治療まで受けることがあった。そこで驚いたのは、処置にあたって「痛み」をほとんど経験しなかったことである。また医師や看護師をはじめ、院内のスタッフの態度も非常に洗練されている。彼らが患者の視点でいろいろ考え、実践していることが見て取れた。
予約時間を過ぎて、しばし待たされた。これについては噂に聞いていたとおりだったが、検査結果などを丁寧に説明する医師からは、一人ひとりの患者ときちんと向き合う姿勢が伝わってきた。これならば時間が後ろに押してもやむを得ないと納得する。
さて、本書である。内容は、著者が「医療4.0」と呼ぶ、新しいテクノロジーを応用した近未来の医療の姿を著したものだ。日本の医療の現状と課題、そして今後の方向性をざっくりと示し、それらを踏まえて30名にもおよぶ次世代を担う医師との対話が収められている。
それぞれの対話は6ページにも満たないものであるが、全体を通して医療当事者の若々しいエネルギーが横溢(おういつ)しており、わたしが一患者として現場で感じた関係者の意識やモラルの高さとも呼応して、明るい未来を予感させるものであった。
医療は誰でも関わるものである。本書を通じて、医療の最前線へ関心を抱く人が1人でも増えることを期待したい。

本書の要点

・2030年の医療現場は、IoTやAIなどの技術革新により、大きく変わることが予想される。その予見される医療を「医療4.0」と呼ぶ。
・テクノロジー活用のトレンドは、「多角化」「個別化」「主体化」だ。こうしたアプローチは、日本の医療が抱えている課題を解決しうる、大きなポテンシャルを秘めている。
・今後の臨床現場において求められるのは、生身の人間と向き合い治療する医師と、膨大なデータを読み解き適切な医療を提案するデータサイエンティストの二本柱になるだろう。

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