【今日の一冊】行動経済学でジェンダー格差を克服する WORK DESIGN(ワークデザイン)


WORK DESIGN(ワークデザイン)
イリス・ボネット,池村千秋(訳),大竹文雄(解説) (NTT出版)


レビュー

日本で女性活躍が進まないのはなぜか。日本の女性活躍のレベルは、国際比較でも異例の低さだ。世界経済フォーラムの「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」(2017年)での日本の順位は、144か国中114位にとどまるという。
今の日本では、働く人の生産性を上げること、働く人を増やすことが欠かせない。女性活躍推進にはそんな効果も期待されており、さまざまな法律や制度が整備されてきた。もちろん、女性活躍が進まない原因は複数あるだろう。たとえば、一般に女性より男性のほうが自信過剰で、競争やリスクテイクを好む傾向にある。そのため、仮に能力水準が同じでも、男性のほうが昇進しやすくなると考えられる。一方で、採用や昇進において、評価する側に無意識のバイアスが働いているのも事実だ。男女差別をするつもりなどなくても、いつのまにか女性の活躍する機会を奪っているかもしれない。
本書が教えてくれるのは、こうした思考バイアスとの付き合い方だ。バイアスに対処するには、自らのバイアスを認知し、考え方や行動を改め、それを定着させることが必要となる。だが、こうした取り組みは苦労を伴う。
そんなときこそ本書が紹介する「行動デザイン」の出番だ。個人の価値観が変わらなくても、環境を変えることで行動を変えられる。それは根強いジェンダー格差の解消はもちろん、より公正な社会の実現につながる。そんなアイディアが詰まった一冊だ。男女共同参画を進める人たちの必読書が今ここに。


本書の要点

・直感的な思考モードである「システム1」は、元々の思い込みを助長するような判断を導きがちである。そのため人々は「代表性ヒューリスティック」などのバイアスに陥りやすくなる。
・行動デザインは、人々が自動的に好ましい行動をとるように促す方法である。価値観や思考様式が変わらなくても、環境を変えることで行動を変えることは可能だ。
・人事評価で性別や人種によるバイアスを排除するには、複数の候補者を比較して評価する手法が有効だ。比較により、無意識のバイアスでなく、個々人の成績に注目できるようになる。


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