【今日の一冊】EU分断は避けられるか 欧州ポピュリズム


欧州ポピュリズム
庄司克宏 (筑摩書房)


レビュー

2017年は欧州におけるポピュリズム政党の台頭が目立った1年であった。5月7日におこなわれたフランス大統領選挙は、39歳の若きエリートであるエマニュエル・マクロン氏と、極右政党「国民戦線」の女性党首マリーヌ・ルペン氏の一騎打ちに。結果はマクロン氏の勝利に終わったが、反EU、反グローバル化、反移民、反イスラムの立場をとったルペン氏も健闘し、33.9%もの票を集めた。もし彼女が当選し、議会で過半数を制していたら、公約に掲げていたFrexit(フランスのEU離脱)が実現していただろう。もしそうなっていたら、いま頃EUは崩壊していたかもしれない。
また9月24日のドイツ総選挙では、反EU・反移民政策を掲げる「ドイツのための選択肢」(AfD)が野党第一党に躍り出た。政権掌握まではいかなかったが、EUの要である大国でポピュリスト政党が大躍進したことは、世界中に衝撃を与えた。
本書は「欧州の衝撃」がなぜいま立て続けに起こっているのか、その内的・外的要因やEUの構造的欠陥を指摘するとともに、EUという特異な存在について詳しく解説している。
世界がこれまで以上に近くなった現在、日本に住んでいる人にとっても欧州情勢は他人事ではない。いまや当たり前にある「EU」という存在の成り立ちや実情は、案外知られていないところだ。本書をじっくりお読みいただき、EUや欧州の現状について理解を深めていただければと思う。


本書の要点

・欧州の多くの国で、ポピュリスト政党が台頭してきている。彼らは欧州金融危機、一部加盟国の債権問題、移民・難民問題などをきっかけに、大衆の支持を獲得してきた。その背景にはエリートへの不満も見え隠れする。
・EUは政治エリートが主導する政体であり、互いの信頼関係を前提としている。しかしそれが崩れた現在、EUの存在意義は危ぶまれている。
・シリアなどからの大量の難民流入問題について、エリートと大衆の意見は真っ向から対立している。


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