【今日の一冊】テクノロジーとサピエンスの未来 ホモ・デウス(上)


ホモ・デウス(上)
ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之(訳) (河出書房新社)


レビュー

『ヨハネの黙示録』に登場する四騎士をご存知だろうか。キリストが解く7つの封印のうち、はじめの4つの封印が解かれたときに現れるとされている。解釈は時代や教派によってさまざまだが、第一の騎士が支配を、第二の騎士が戦争を、第三の騎士が飢饉を、第四の騎士が(疫病や獣による)死を表すというのが一般的な見方だろう。いずれにせよ人類が直面する災厄の象徴というわけだ。
だが現代を生きる私たちは、この四騎士を徐々にではあるが撃退しつつある。しかも撃退するだけでは飽き足らず、みずからが神のような存在になること、すなわちホモ・サピエンスからホモ・デウス(神のヒト)へのアップグレードを目論んでいる――これが本書の根幹となる主張だ。
まるでSF映画で使い古されたテーマのようじゃないか、と侮るなかれ。上巻を読むだけでも、これがけっして荒唐無稽な主張でないことがわかる。著者の予測は相当なリアリティをもっており、読み終えた後は別の未来を想像することすら難しく感じてしまうだろう。
世界中でベストセラーとなった『サピエンス全史』が人類の「これまで」を綴ったものなら、本書は人類の「これから」を描いたものだ。かつて自然を崇拝し、神を信仰していた私たちはいま、人間そのものを絶対視している。だがその先に何が待ち受けているのかを知るのは、自然でも神でも、あるいは人間でもないのかもしれない。


本書の要点

・人類は飢饉、疾病、戦争という問題を解決しつつある。人類の新たな目標はホモ・サピエンスをホモ・デウス(神のヒト)へアップグレードすることであり、不死、幸福、そして神性の獲得が追求されていくだろう。
・農業革命が有神論の宗教を生み出したのに対して、科学革命が生み出したのは人間至上主義という宗教だ。いまのところ科学と人間至上主義は両輪となって、現代社会を構築している。しかし今後、ポスト人間至上主義が生まれるかもしれない。


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