【今日の一冊】テクノロジーとサピエンスの未来 ホモ・デウス(下)


ホモ・デウス(下)
ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之(訳) (河出書房新社)


レビュー

現在を生きる私たちからすると、昔の人たちの世界観には理解しがたい点が多い。たとえばいま天動説を本気で唱える人はほとんどいないだろう。そんなことをしても、大抵の場合は呆れられるだけだ。だがかつては天動説こそが真理であり、地動説を唱えることは狂気そのものだった。
著者はこの天動説から地動説のような大規模なパラダイム・シフトが、おそらく21世紀の間に起きると予想する。かつて世界の「主役」だった神々は、18世紀にはその座を退いた。神々の代わりに主役に躍り出たのがホモ・サピエンス、私たち人間だ。かようにパラダイムは変遷する。ならばこの先ホモ・サピエンスが主役から外されても、なんらおかしな話ではない。
選ばれた少数のホモ・デウス(神のヒト)が支配するか、あるいはデータがすべてを飲みこむか――。著者の示唆する未来は『1984』のような管理社会、もしくは『マトリックス』で描かれた仮想現実の到来を私たちに想起させるだろう。もちろん著者も認めるように、こうならない可能性は十分ある。だが生命工学とコンピューター・エンジニアリングの発展が、こうした未来の到来を示唆しているのもたしかだ。
生命は本当にただのデータ処理にすぎないのか。知能と意識のどちらにより価値があるのか。そして私たち以上に私たちを知るアルゴリズムが現れたとき、社会や政治や日常生活はどうなるのか。著者の投げかけた問いはこれからの世界を生きる私たちにとって、あまりにも重く響く。
視座がガラリと変わるほどの一冊、ぜひじっくり読みこんでみてほしい。


本書の要点

・人間至上主義は「自由主義」「社会主義」「進化論的な至上主義」の3宗派に分かれて争い、最終的に自由主義が勝利した。
・現代において自由主義が支配的なのは、科学やテクノロジーともっとも相性がよいからだ。
・自由主義は科学の発展とともに隆盛してきたが、いまは科学が自由主義に疑問を投げかけている。
・自由主義の崩壊後、新しく生まれる可能性のあるのが「テクノ人間至上主義」と「データ教」だ。前者はホモ・デウス(神のヒト)を、後者は「すべてのモノのインターネット」を志向する。


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