【今日の一冊】The Secret History of the iPhone The One Device


The One Device
Brian Merchant (Bantam Press)


レビュー

世界を変えたといっても過言ではないiPhoneだが、「誰がiPhoneを発明したか」と問われると、ほとんどの人はスティーブ・ジョブズと答えるだろう。たしかに機能をブラッシュアップし、iPhoneを宣伝するのにジョブズは貢献した。だがデバイスそのものは、過酷な締め切りや戒厳令のなか、多くの人々が(ときには反目しつつ)協力しあったからこそ創り出されたものだ。本書はiPhone開発の歴史に埋もれていた人たちに焦点を当てることで、プロジェクト運営やマネジメントにおける教訓を私たちに与えてくれる。
また著者はアップルの大ファンではあるものの、iPhoneの制作過程における“闇”に切りこむことも厭わない。iPhoneを作るために必要なリソース、組み立てるための人的コスト、廃棄物やプライバシーに関する問題についても、本書では言及されている。
いまや数億もの人が、ポケットサイズのスーパーコンピュータを持ち歩く時代だ。その一方で、どうやってこのような技術的革新が起きたのか、それが生活にどう影響をもたらすのか、そのような変化にともなってどのようなコストが生まれるのか、わたしたちは忘れてしまいがちである。本書はこうした問題を深掘りしつつ、バランスのとれた立場から論じている。この“技術の勝利”がどのような問題をはらんでいるのかを考えるうえで、非常にすぐれた一冊だといえよう。


本書の要点

・iPhoneは1人の手によって生まれたものではなく、多くの人がそれぞれの目標を追求した結果生まれたものだ。
・スティーブ・ジョブズの批判的な性格や近視眼的な見解が、iPhone開発の遅延を招いた。この事例はリーダーという立場にいる人たちにとって、大きな教訓となるだろう。
・iPhoneなどのデバイスの需要にともなって生じる環境コストや人的コストは、とうてい無視できるものではない。「ワン・デバイス」がどのような倫理的およびイデオロギー的な意味合いを帯びているのか、いま一度よく考える必要がある。


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