【今日の一冊】編曲家・萩田光雄の時代 ヒット曲の料理人


ヒット曲の料理人
萩田光雄 (リットーミュージック)


レビュー

カラオケ屋で歌っているメロディーは、作曲家が作ったもの。それ以外に鳴っているすべての音楽を作るのが、編曲家の仕事である。日本の歌謡曲の発展を支えた、陰の立役者というと、萩田光雄氏という編曲家の名が挙がるだろう。「異邦人」「木綿のハンカチーフ」「プレイバックPart2」。こうした誰もが知る名曲を編曲した萩田氏の半生が本書で明らかになる。
萩田氏は、歌謡曲全盛の70年代から80年代、斬新かつその歌手に合ったアレンジを導き出し、次々にヒット曲を生んだ。アレンジした楽曲数は4000を越える。萩田氏自身の語りと関係者へのインタビューによって、多彩な作品が生まれた時代背景や音楽に関わる人々の尽力を知ることができる。
特に注目したいのは、ヒット曲の陰に存在している、大勢の裏方の人びとの仕事ぶりだ。1つの楽曲を作るには、作詞家、作曲家、編曲家、ディレクター、ミュージシャンなど、実に多くの人びとが関わっている。この時代に、子どもから大人まですべての人が口ずさめる名曲が数多く誕生した。これはひとえに、楽曲を生み出してきた人々のプロ意識のたまものといえるのではないだろうか。時代の空気や流行を取り入れながらも、音楽的な美を追求しつづけた萩田氏の姿勢は、音楽業界で働く者でなくとも学ぶ点が多い。
現在の音楽シーンの基盤を固めた歌謡曲の裏側を知れば、なつかしの音楽を、新たな視点で聴きたくなること間違いなしである。


本書の要点

・編曲家は、作曲家が作ったメロディーにイントロや伴奏を付け、曲全体のサウンドを生み出す。歌謡曲における「料理人」といえる存在だ。
・昭和の時代には、編曲家はディレクターの意図を汲み取り、ミュージシャンなどのスタッフと意思疎通をはかりながら、音楽全体の印象を決めるにあたって大きな役割を果たしていた。
・商業音楽に携わる者の使命は、音楽的な曲の美しさとマーケットを意識しながら、なるべく多くの人に好まれる曲を作ることである。


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