【今日の一冊】 なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?


なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?
岡崎大輔 (SBクリエイティブ)


レビュー

本書では、著者が所属する京都造形芸術大学アート・コミュニケーション研究センターが提供する「ACOP/エイコップ(Art Communication Project)」という美術鑑賞プログラムが紹介されている。これは、複数人でひとつのアート作品を見ながら、それぞれの発見や感想、疑問などを話し合うというプログラムだ。「みる・考える・話す・聴く」という4つの能力を駆使してアート作品をじっくり鑑賞し、コミュニケーションを通じて解釈を深めていく。
なぜいま、このメソッドが注目されているのか。著者によると、明確な答えがない時代において、私たち一人ひとりに考え抜く力が求められているからだ。その力を獲得するには、多様な捉え方が可能な、つまり正解が必ずしもひとつではないアート作品に向き合い、そこから感じられたものを言語化し、さらに他の参加者の発想に耳を傾けることが有効だというのである。
そしてこのメソッドのカギは、「解釈」の裏付けとなる「事実」を見つけ、共有することだ。これはビジネスにおける「現場」の重要性を想起させる。同じ現場に立っても、そこから得る情報の質や量、導き出す解釈は人それぞれだ。だから「事実」を十分に吟味せずに判断を下すと、重大な損失を招きかねない。ここには、ロジックと感性の両方が求められるビジネス社会を生き抜くヒントが隠されているのではないだろうか。


本書の要点

・「ACOP」という美術鑑賞プログラムでは、グループを組み、「みる・考える・話す・聴く」という4つの能力を駆使して鑑賞を深める。そのメリットは、鑑賞者間の相乗効果が起き、より多面的に作品を鑑賞できることにある。
・ACOPのような対話型鑑賞では、作品名や作家名、制作年、制作意図などといった情報に頼らず、アート作品に直接向き合い、解釈を深めることに重きを置く。
・対話型鑑賞を通して、自ら考える力、物事から複数の可能性を見出す観察力、事実に基づいて論理的かつ体系的に思考する力など、これからの時代のビジネスパーソンに求められる能力を獲得することができる。


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