【今日の一冊】社員の幸せを大切にする経営 パーパス・マネジメント


パーパス・マネジメント
丹羽真理 (クロスメディア・パブリッシング)


レビュー

「社員の幸せを大切にする経営」と聞いて、反論する人は誰もいないだろう。では、経営に社員の幸福度という指標を持ち込むと聞けばどうだろう。「幸せ」という漠然とした感情を、様々な数値にもとづいて舵取りする経営と同じ土俵に上げるなんてアンマッチではないか。本書を読み始めた当初は、要約者はこのように感じていた。だが、読み終わったときには、そんな疑問は立ち消え、ある確信を抱くようになった。会社の業績を上げたいなら、社員の幸せを追求すべきであると──。
そもそも「幸せ」とは何か。抽象的であるうえに、その定義は人それぞれだ。従業員満足度の調査ならすでにビジネスの現場に浸透しているし、少なくとも「幸せ」より数値化しやすいように思える。だが、それではだめな理由がある。従業員満足度は生産性とあまり相関しないという研究結果が出ているのだ。これに対し、社員の幸福度は、仕事のパフォーマンスと相関関係にあることがデータによって実証されている。つまり、幸福度が高まるほど成果が出やすいということだ。そしてそのカギは、ミッションでもビジョンでもなくPurpose(存在意義)にあるという。
著者の主張は科学的な実証データにもとづいており、読者も高い納得感を持てるだろう。社員の幸福度が高まるほど仕事のパフォーマンスが向上し、会社の業績が上向いてくる。こんな素晴らしいことがほかにあるだろうか。読んで損はない。企業の経営層やマネージャーの必読書としておすすめしたい。


本書の要点

・「働き方改革」の本質は、誰もが幸せに働ける社会を実現することにある。そのためには、労働時間の長短ではなく、社員の幸福度にフォーカスすることが重要だ。
・社員の幸福度が高いほど組織のパフォーマンスが高まり、会社の業績向上にもつながることが様々な科学的データで実証されている。
・社員の幸福度を高めるのに大切なのは、個人と組織の存在意義=Purposeを合致させることである。
・社員の幸せを組織的にデザインする「CHO=Chief Happiness Officer」の役割は、経営職でなくとも、社員一人ひとりが担うことが可能だ。




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