【今日の一冊】 ユニクロ潜入一年


ユニクロ潜入一年
横田増生 (文藝春秋)


レビュー

衝撃の内容である。安価で高品質な「ユニクロ」の服は、誰のクローゼットにも1枚はあるのではないだろうか。そのユニクロの製品が、こんなにも過酷な労働のうえに成り立っているものだとは……。
本書で指摘されるユニクロの問題点は、サービス残業、長時間労働、パワーハラスメントといった言葉に集約される。とくに「感謝祭」というセール期間に入ると、店舗は圧倒的な人手不足に陥り、過酷なシフトが勝手に組まれることも日常茶飯事だという。
こういったことを噂話として語るのは簡単だ。しかし本書が特異なのは、著者が実際にアルバイトとしてユニクロで働き、取材をおこなったという点にある。以前にもユニクロを告発する書籍を執筆している著者だが、今回は自分の名前を変えてまでユニクロに潜入している。その甲斐もあってか、本書では実際に働いた者にしかわからない現場のリアルが生々しく描かれている。またユニクロ製品を生産している海外の下請け工場の取材もおこなわれており、日本よりもさらに劣悪な労働環境が浮き彫りになってくる。
日本で「働き方改革」が叫ばれるようになって久しいが、届かない現場の声、経営者の独裁、慢性的な人手不足などは、多くの日本企業に共通した問題でもある。「働き方」や「企業のあり方」について、あらためて真剣に考えさせられる一冊だ。


本書の要点

・ユニクロではマニュアル通りに仕事をすることが最優先され、現場からの意見は一切反映されない。徹底した人員管理で、現場の士気は下がる一方だ。
・海外工場は人件費の安い国へ移転していっているが、その劣悪な労働環境は黙認されつづけている。
・仕事量に対して時給が安いため、集まるのは外国人ばかりになり、ミスコミュニケーションによるトラブルが続発している。その結果作業効率が下がり、さらに人手が足りなくなるという悪循環が起きている。
・本人の意思を無視して、長時間働かされる「ブラックバイト」。シフトは勝手に組まれ、辞めたくても辞めさせてもらえない環境がユニクロにはある。




フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に1,500タイトル以上の要約を公開中です。@niftyニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。