【今日の一冊】ポケモンGOからトランプ現象まで ヒットの設計図


ヒットの設計図
デレク・トンプソン,高橋由紀子(訳) (早川書房)


レビュー

「ヒットの設計図」が本当にあったなら、多くの人が飛びつくことだろう。しかしみんながヒットの仕組みを理解すると、今度はそれが普通になってしまい、そこからまた頭一つ抜け出さなければならなくなる。
なにかをヒットさせるのは難しい。本書でも過去のヒット作をもとに、ヒットに関するさまざまなセオリーやパターンが紹介されているが、やはりいたずらにヒット要素を詰め込めばよいというものでもないようだ。わかってはいたが、そう簡単にヒット、大ヒットが生まれたら誰も苦労しないというわけである。
そんな苦い思いを感じながらも、本書を楽しく読むことができたのは、ヒットを生み出した人々の物語がしっかりと、細部まで描かれているからだ。歴代のヒットメイカー達の物語、そして著者が取材を通して得た彼らの生の声がうまく解説と組み合わされており、最後まで飽きさせない作りになっている。
19世紀のブラームスの子守歌から、つい数年前のポップカルチャーまで、本書の守備範囲は相当広い。いつの時代も人々の心を掴むアイデア、作品は生み出されているが、時代によってその伝わり方は違う。本書に登場するヒット作を通して、その時代の様相に思いを馳せてみるのも面白いだろう。


本書の要点

・人は見たこと、聞いたことがあるという「なじみ感」を好みながらも、知らないもの、新しいものも少しだけ欲している。それがうまく合わさっていることが、ヒットにおける重要な要素の1つだ。
・新しいアイデアや商品は、じわじわと広がっていく「バイラル」方式ではなく、1つの情報源から多くの人が同時に情報を得る「ブロードキャスト拡散」で広がっていく。
・人間のグループには「ホモフィリー(同質性)」の原理が働いている。特別な共通点で結びついている小さなグループを見つけ、そこに働きかければ、ヒットする可能性が高まる。




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