【今日の一冊】 「王室」で読み解く世界史


「王室」で読み解く世界史
宇山卓栄 (日本実業出版社)


レビュー

今上天皇の生前退位を前にし、日本中がそれを粛々と受け止め、新しい世に思いを馳せている。日本人にとって、天皇陛下の存在は、国の象徴として存在し続けることが当たり前なのではないだろうか。そして、その存在が「ない」という発想は、まず思い浮かばないだろう。
しかし世界を見渡してみると、これが稀有なことだとわかる。日本の皇室のように、1000年以上も万世一系でつながっている王室は、世界中どこを探しても見つからない。世界史上では、王室が突然断絶したり、誰かに乗っ取られたりすることは当たり前。しかもそれが百姓や異民族の場合すらあるのだ。
現在、世界には27の王室がある。18世紀にはほとんどの国に王がいたが、市民革命や植民地支配、共産主義化などで、その多くが途絶えた。また、アメリカのように、もともと王のいない国もある。本書では、世界各国の王室の歴史と現状が、わかりやすく解説されている。
著者は代々木ゼミナールで世界史の人気講師として活躍し、『「民族」で読み解く世界史』などのヒット作を生み出している宇山卓栄氏だ。範囲が広く、ともすれば散漫になりがちな世界史だが、著者のテンポのよさと切り口の面白さで、思わずページをめくっていることだろう。
王とは何か。皇帝とどう違うのか。王室が残った国とそうでない国は、何が違ったのか。世界史に苦手意識を持っている人でも、上質のエンターテイメントとして十分に楽しめる内容である。王統から人類の軌跡を知る新しい世界史の旅が始まる。


本書の要点

・王とは王の血筋を引く者であり、血統の正当性が原則である。王室の安泰は社会秩序を作り、国の安泰につながる。それを最も理解してきたのは日本だ。日本の皇室は、1500年もの間、王統の一貫性を保っている世界唯一の王室である。
・ヨーロッパにおける皇帝とは「カエサルの後継者」を指す。王のような血筋の正統性は問われない。
・中国では力があれば誰もが王朝を興し、君主になることができた。王朝を覆すことは「易姓革命」と呼ばれ、正当化された。そのため何度も王朝が変わり、異民族による王朝も数多く誕生した。


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