【今日の一冊】生産性とモチベーションが上がる事例20社 働き方改革


働き方改革
小室淑恵 (毎日新聞出版)


レビュー

働き方改革を進めることによって企業の生産性を上げる。それが本書のテーマだ。しかし著者の真意はそれだけにとどまらない。根底にあるのは、私たちの働き方を見直すことによって、日本の社会をよりよいものにしていこうという真っ当な志である。「財政再建」や「少子化」といった大きな言葉が語られないわけではないが、なにより胸を打つのは、著者の一生活者としての次のような言葉だ。
「働き方改革は企業の生産性向上ばかりが注目されますが、社会の働き方改革の行く先には、夫婦間の信頼関係が再構築され、家庭内の幸福度が大きく引き上がり、子どもたちを包み込む空気が変わることをしみじみと実感しました」。
著者がおそれるのは、働き方改革が一時のブームに終わってしまうことであり、さらには結果が出なかったときに日本社会全体がリバウンドしてしまうことである。「法律が施行されるから」という受け身の姿勢で取り組めば、逆に社員のモチベーションを削いでしまうかもしれない。
そうならないためには、まず経営者が働き方改革の背景とその本質をよくよく理解する必要がある。著者の力点もまさにそこに置かれており、本書では20社にもおよぶ取り組み事例が具体的に紹介されている。その顔触れも小さな会社から官公庁まで、きわめて多様だ。
残業を減らすことと業績を上げることは、決してトレードオフの関係ではない。労働時間を削減し、社員のモチベーションと組織の生産性を高め、業績を伸ばすことはできる。そう強く勇気づけられる一冊である。


本書の要点

・人口オーナス期に入った日本社会は、少子高齢化、介護離職者の増加など働く環境が激変しており、働き方改革が喫緊の課題だ。
・改革の成功のポイントは「それぞれの組織風土に合った施策を開発できるかどうか」「改革の必要性を全員が肚落ちできているかどうか」「チームで助け合いながら実現できているかどうか」である。
・結果を出しつつリバウンドを起こさないためには、チームメンバーの「関係の質」を高め「グッドサイクル」を立ち上げることが求められる。


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