【今日の一冊】君たちが大人になるころの未来を変えるために 14歳からの資本主義


14歳からの資本主義
丸山俊一 (大和書房)


レビュー

社会のしくみや世界情勢はいま大きく変化している。グローバル化や格差拡大、ITの普及・発達により、この流れは今後も加速していくだろう。それは良くも悪くも、資本主義の宿命なのかもしれない。
資本主義は近代に誕生したしくみであるが、時代に合わせて変貌を続け、そのつど生まれ変わってきた。本書はNHKの番組「欲望の資本主義」制作統括を務めている著者が、14歳の子供たちに向けて現代の資本主義、そしてこれからの資本主義について語ったものだ。番組で扱われた内容を軸としつつ、さらに発展させた議論が展開されており、これが興味深い。典型的な「経済学」や「資本主義」の教科書とは違い、「デジタル革命」「ポスト産業社会」「共感の商品化」「GAFA」のような現代的な事象にも正面から取り組んでいるため、単なる子供向けの読み物には収まらない、魅力のある書物になっている。
アダム・スミスの「神の見えざる手」や、「合理的経済人」の話題など、経済学の基礎となる論点も丁寧に説明されているので、経済学を初歩から学ぶうえでも役立つだろう。「この書物を読めば経済学や資本主義のすべてが理解できる」というわけではないかもしれないが、経済学という観点から現代社会を読み解くことのおもしろさが伝わってくる、すぐれた入門書である。


本書の要点

・資本主義ではいつも「増える」ことが望まれているが、現代では世界の総需要の不足が問題視されている。しかしそもそも成長は「手段」であって、「目的」ではないのではないか。
・ポスト産業社会では、差異化された感情も商品となりうるが、その商品価値は不確かで危ういものである。
・技術革新によるデジタル化は格差を拡大させ、社会の分断を生み出す。
・これまで経済学は「欲望」を科学的に分析してきたが、これからは欲望の背景にあるさまざまな思いについても考慮しなければならない。
・おカネさえあれば誰もが参加できる場という意味で、市場には大きな価値がある。


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