【今日の一冊】 鎌倉資本主義


鎌倉資本主義
柳澤大輔 (プレジデント社)


レビュー

本書は「面白法人カヤック」という一企業の活動を通じて、今後の資本主義社会を考えるものだ。キャッチーで派手なコンテンツに見えるが、彼らは本気だ。著者は大真面目に、徹底して「面白さ」を追求しながら、日本を変えようとしているのである。
経済的な利益ばかりを追求する資本主義が限界を迎えつつあることは、誰もが肌で感じているのではないだろうか。今後は企業も社会貢献や、個人の「幸せ度」を高めることにも取り組まなければならないだろう。だが経済的成長をあらわす指標とは異なり、「幸せ度」を表す明確な指標は存在しない。そこで本書では「鎌倉資本主義」という新しい資本主義のあり方を提唱している。
「鎌倉資本主義」は、地域の人と人とのつながりや、その地にある自然や文化などの環境を「地域資本」として定義し、新たな価値指標とするものだ。鎌倉資本主義では、今まで無視されてきた「数値化できない」ものを「価値=資本」として認め、増やしていくことを目標とする。そうすることによって従来の資本主義が抱える課題を解決できると著者はいう。
カヤックの活動の根底にあるのは「面白いことがしたい」という情熱である。「資本主義の限界」「新しい価値指標の創造」などというと堅苦しく感じられるが、シンプルに「みんなで面白いことがしたい」「どうやったら面白くなるだろう」と考え、活動しているのだ。何しろ「面白法人」である。そのシンプルさ、身軽さがテーマを身近に感じさせてくれる。構えずリラックスした気持ちで、経済や地方創生を考えられる一冊だ。


本書の要点

・国や企業はこれまでGDP(国内総生産)という単一の指標を追求してきたが、GDPでは測れない精神的な豊かさや幸福感を増やしていくことが重要になりつつある。
・経済資本に加え、これまで軽視されてきた「人と人とのつながり」と「自然や文化」を「資本」と考え、それを増やすことを目的とするのが「鎌倉資本主義」である。
・カヤックは、「まちの社員食堂」「まちの保育園」「まちの人事部」などといった取り組みを通じて鎌倉というまちを「応援」している。


この本の要約をflier(フライヤー)で読む


フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に1,500タイトル以上の要約を公開中です。@niftyニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。