【今日の一冊】 経営戦略としての異文化適応力


経営戦略としての異文化適応力
宮森千嘉子,宮林隆吉 (日本能率協会マネジメントセンター)


レビュー

本書のテーマは「ビジネスと異文化」である。国民文化については、多くの経営学者が計測を試み、いくつもの指標が発表されてきたが、そのなかで本書が依拠するホスフテード教授による指数は最も有名なもので、異文化の研究者であれば知らない者はないという*。もしこのテーマに少しでも関心があるなら、まず手に取るべき一冊と言えるだろう。
本書では、各国の文化の解析に基づく「6次元モデル」をベースに、世界の国々が6種類の「メンタルイメージ(文化圏)」に分類されている。もし読者がある国で仕事をすることになれば、その国の慣習を事前に調べておくことに加え、その国のメンタルイメージを理解しておくといい。そうすれば、コミュニケーション上のリスクをかなり回避できるだろう。多国籍のメンバーと仕事をするときには、一人ひとりの考え方の背景として出身国のメンタルイメージが頭に入っていれば、相互理解はぐっとスピードアップするに違いない。また、私たち日本人もメンタルイメージを持っており、それは他の国のものとは異なるのだと認識しておく必要がある。
ディテールに少し触れると、要約者は「経営理論は米国の文化に拘束されている」という警告と、日本の「集団主義のパラドックス」をたいへん興味深く読んだ。意表を突かれるデータや事例も満載なので、楽しみながら読んでいただけると思う。
『世界の経営学者はいま何を考えているのか』入山章栄(英治出版)2012 p.189-190


本書の要点

・ホフステード博士は、国による文化の違いを「6次元モデル」として世界で初めてスコア化した。その評価軸は6つで、「権力格差の大小」「集団主義か個人主義か」「女性性か男性性か」「不確実性の回避度の高低」「短期志向か長期志向か」「人生の楽しみ方が抑制的か充足的か」だ。
・日本は、6つのモデルに当てはまらない独自のタイプだ。男性性が高く、不確実性の回避度もまた高い。
・CQ(多様な文化的背景に効果的に対応できる能力)の高い組織をつくるには、お互いを理解し、客観視するアウェアネス(気づき)を持ったうえで、同じビジョンを共有することが重要だ。


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