【今日の一冊】教養としての10年代アニメ 平成最後のアニメ論


平成最後のアニメ論
町口哲生 (ポプラ社)


レビュー

「この講義を受講する者は、深夜枠を中心に週に20本以上『アニメ』を視聴しておくこと」――著者は大学で講義する際、そう注意をしたという。
本書はその講義内容をもとに書籍化したものだ。ただ一般向けの新書ということもあり、週に20本以上のアニメを見ていなくても十分に理解できる内容となっている。「教養としての10年代アニメ」という言葉には、アニメに関する知識を現代文化のひとつの「教養」として知ること、アニメを通してさまざまな「教養」(学問的知識)を得ることの2つの意味が込められているようだ。
本書では『君の名は。』『けものフレンズ』など、10年代を代表するアニメが7つ取り上げられている。著者の言うように、こうしてみると10年代アニメは設定を練り込み「世界観」にこだわったものが目立つ。日本古来の文学や芸術作品、文化や風習が取り入れられたり、現実世界の社会情勢が反映されていたり、歴史・哲学・科学的な考察が軸に置かれていたりする。
本書は幅広い読者を想定しており、ひとつひとつの作品をとことん分析するという類のものではない。とはいえ本書で取り上げられているようなアニメ作品に触れ、その背景や思想に親しむことは、あなたの人生をより深く豊かにするためのヒントを与えてくれるに違いない。


本書の要点

・アニメはそれ自体が教養(文化)であり、同時に教養(学問)として分析するに足るものだ。
・「夢」や「地獄」などの彼岸をモチーフとする10年代の代表的な作品は、日本文化を継承しつつも「再境界化」することで、現代人の価値観に揺さぶりをかけている。
・怖い「世界観」を背景にかわいいキャラクターが活躍するのが、10年代アニメの特徴のひとつだ。
・アニメ作品の中には、現実の歴史や社会情勢、遠い未来の予測が詳細に記されているものがある。そうした「世界観」には、現実の私たちの「世界像」を強く揺さぶる力がある。


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