【今日の一冊】 居酒屋へ行こう。


居酒屋へ行こう。
太田和彦 (ポプラ社)


レビュー

今はインターネットで、いくらでも評判の良い居酒屋をリサーチできる時代だ。その掲載写真を見れば、おおよその雰囲気もつかめる。何かの記念日や宴会の場合は特に、インターネットの情報は役に立つ。一方で、あまり下調べをせず、その日の夜をどの居酒屋で過ごそうかとプラプラ歩くことも多々あるだろう。そんなとき、ちょっと入りにくそうなお店にこそ入ってみようと、冒険心を抱いたことはないだろうか。
本書で扱われている居酒屋は、そんなときに吸い込まれそうになる、味わい深い店ばかりだ。ひとたび中に入ると、店主、店内の造り、お酒、料理、お客さんなど、そのお店のすべてによって構成される、独特の味わい深い空間が待っている。本書は単なる居酒屋紹介の本ではない。数々の居酒屋をめぐり、味わい尽くしてきた著者ならではの切り口で、「居酒屋を巡る旅」をデザインし、読者のガイドをしてくれている。各地域の風土や歴史が色濃く反映された空間が存在することを、読者は実感するにちがいない。
もちろん地域性の違いは、普通に旅行をするだけでもなんとなくわかるだろう。しかし著者のような居酒屋の見方や感じ方を会得できたら、楽しみは倍加する。さらに居酒屋は、ひとり時間の豊かな過ごし方を学ぶ、最高の場所ではないか。要約者はそんな思いを抱いた。居酒屋の名店に足を運んでみたい人、ひとり飲みのたのしみを極めたい人にうってつけの一冊だ。


本書の要点

・東京の名居酒屋と呼ばれる店は、「老舗の伝統」が特徴の第一世代、「酒も料理も楽しめる良さ」が特徴の第二世代、そして「自分に合った個性」が特徴の第三世代に分けられる。
・大阪では元々、「居酒屋は安くてナンボ」であったが、酒販店「山中酒の店」の主導で、名居酒屋が次々に誕生し、発展していった。
・日本全国の「居酒屋を巡る旅」は、一人で一ヶ所に二泊するのが理想的だ。初めて訪ねる旅先では、昼間のうちに町を下見して、夜に入る居酒屋の見当をつけるとよい。


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