【今日の一冊】「ポストデジタル経済」へ、ビジネスや発想はこう変わる アナログの逆襲


アナログの逆襲
デイビッド・サックス,加藤万里子(訳) (インターシフト)


レビュー

書類のやりとりがデータで行われ、電子書籍が普及し始めたとき、「紙が完全になくなる日は近い」と誰もが予想したことだろう。ところが実際にはいまも紙とインクは生き残っている。それどころかアメリカでは紙の書籍を扱う書店が増加し、ノートブランドである「モレスキン」は世界的に売り上げを伸ばしている。これはどういうことなのだろうか。
本書ではこうしたアナログへ回帰する流れを「アナログの逆襲」と称して紹介する。アナログなものを好む流れは、意外にもデジタル・テクノロジー企業や、若者の間で起きているのだという。著者はそれを「デジタルでは代替できない魅力がアナログにはあるからだ」と説明する。そしてふたたび増え始めた個人書店やレコードなどに焦点を当てながら、デジタル時代の先にある「ポストデジタル」世界を考察していく。
なお断っておくと、本書の主題は「デジタルを捨て、アナログ時代に戻るべし」というものではない。デジタルのよさや必要性は著者も認めている。しかしデジタルの弱点を指摘しつつ、アナログの持つ「経験」や「感覚」の価値を再考すべきというのが著者の考えだ。人はもはやアナログだけでは生きられないが、デジタルだけでも生きられない。人はアナログの身体に住み、フィジカルな感覚を求めているのである。
日々デジタルに囲まれて忙しく生活している人は、快適なソファでコーヒーでも飲みながら、本書を「読む」というアナログ体験をぜひ味わってみてほしい。


本書の要点

・若者世代ほどアナログに回帰している。デジタルは万能ではない。五感を使って「経験」できるアナログのほうが、単純に優れている場合もある。
・デジタル企業ほどアナログを重視している。創造性を高め、強固な企業文化を形成するには、人と人が実際に触れあい、会話する空間が欠かせない。
・教育において、テクノロジーはかならずしも有効ではない。今後必要とされるのは、共感やコミュニケーション能力であり、それらを育てるにはアナログ的手法が必要である。


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