【今日の一冊】あの企業が世界で成長を遂げる理由 THE VISION


THE VISION
江上隆夫 (朝日新聞出版)


レビュー

バブル経済の崩壊以後、「失われた時代」と呼ばれる4半世紀のあいだで失われたもっとも重要なものは何か。企業のビジョンづくりに30年以上関わってきた著者からすると、それは「ビジョン」だという。
人工知能、シェアリング、ブロックチェーンなどさまざまなテクノロジーが、人間のコントロールの外で幾何級数的に発達している。囲碁だとすでに人間は人工知能に勝てないし、中央銀行が存在しない仮想通貨も世界中に流通しはじめている。またUberやAirbnbのような新興企業も、既存産業の構造を破壊しつつある状況だ。このような世の中で「ビジョン」もなしに企業を経営することは、地図やGPSも持たずに海を漂うようなものだと著者は指摘する。
本書は企業を念頭に執筆されたものだが、大部分の内容は個人についても当てはまる。主体的な意志もなく人生を歩むことは、外界の変化に後手後手に対応していくだけの「リアクション人生」となる。公共的未来像(ビジョン)を持ち、自分の価値基準や行動原理、達成基準にもとづきながら、その未来像に向かって行動していかなければならない。
とはいえ「言うは易く行うは難し」である。個人でも企業でも、なかなか具体的な行動には踏み切れないものだ。しかし安心してほしい。本書ではビジョンづくりのための具体的なツールやフレームワークも紹介されており、すぐに取り組めるようになっている。
大きな時代の流れに立ちすくむ前に、ぜひ本書を手にとり、最初の一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。


本書の要点

・ビジョンとは「多くの人に共有・共感される、未来への洞察を信念にまで高めた末に生まれた、自らが心から達成したいと願う、あるべき未来像」である。
・驚異的なスピードでテクノロジーが進化する中で、ビジョンを持たないということは、こうした流れを傍観するということであり、意志の放棄に他ならない。
・日本のスタートアップからも、創業の志と明確なビジョンを持っている企業がいくつも出てきている。一方で苦境にあえいでいる大企業には、ビジョンの欠如を見ることができる。


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