【今日の一冊】標高5000mで動き出した史上最高の“眼” スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち


スーパー望遠鏡「アルマ」の創造者たち
山根一眞 (日経BPコンサルティング)


レビュー

宇宙の誕生・進化の歴史をとらえようとする電波望遠鏡「アルマ」をご存じだろうか。2019年4月、ブラックホール観測の一翼を担い撮影成功に貢献、注目を集めた66台からなる電波望遠鏡群だ。目覚ましい成果をあげ、宇宙科学の発展への貢献が期待されているアルマ。その「創造」の裏側には、壮大なストーリーがあった。
2011年8月25日深夜、神戸市から西におよそ50キロ離れたフクトクテクノス高砂超大型工場から、口径7メートルもある巨大なパラボナアンテナの最後の搬出作業が行われていた。およそ100トンのパラボナアンテナは、ただ巨大なだけではない。主鏡と呼ばれるお椀型の表面にアルミニウムを削り上げた鏡面仕上げが施されている、超精密製品で、日本は16台を製造した。
移動中に何かがあれば、「アルマ」は台無しになってしまう。それを貨物船に積み込み、太平洋を越えて地球の反対側、南米のチリへの納品を続けてきた。これだけでも、途方もない努力が必要だということが察せられる。
チリに届いたパラボナアンテナは、標高5000メートルのアタカマ砂漠に設置される。そして、はるか彼方の宇宙から、地球に届いている「電波」を拾うために使われる。このように宇宙を電波で観測する装置が「電波望遠鏡」だ。
複数の国が協力し合い、およそ1000億円を投じて実現した、史上最大スケールの天文学プロジェクト。それが本書のテーマである「アルマ」だ。宇宙の歴史を知るという途方もない人類の夢に向けてひたむきに手を動かし続けた創造者たちの物語を堪能していただきたい。


本書の要点

・宇宙から届いている電波を受信し観測することで、宇宙誕生や進化の歴史が解明できる。
・電波望遠鏡「アルマ」の国際共同プロジェクトでは、超精密かつ巨大なアンテナを製造することで、波長が短く観測が難しいとされる「サブミリ波」の観測を目指した。
・アルマは視力6000を達成し、惑星誕生の現場を史上最高解像度で撮影することにも成功した。


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