【今日の一冊】 社会学史


社会学史
大澤真幸 (講談社)


レビュー

政治学や経済学などの社会科学は、いかなるものを対象として、どのようなことを論じているのか、おおよそのイメージを持ちやすい。だが、社会学に関してはつかみづらい面がある。そもそも「社会」とは何かを、いざ説明しようとすると難しい。ましてや、社会についてどのような理論を立て得るのか、想像することは容易ではないだろう。
本書は、「社会学」かどうか明確ではない領域の議論や、「社会学者」かどうか人によって区別の分かれる学者も含めて、広い視座で、その誕生以前から「社会学」の歴史を俯瞰する大著である。
著者も触れているように、特にマルクス、フロイト、フーコーなどは、「社会学者」という枠に収まりきらず、通常はその功績を「社会学史」の中で扱わないかもしれない。だが、彼らが学問領域を横断してきたからこそ、社会学を進化させるような新しい観点を提示し、大きな影響を与えたともいえる。こういった、分野横断的で柔軟な視点からの解説は、碩学な著者ならではだろう。
600ページ以上と、新書としては分厚い書物だが、平易な文体で読みやすく、わかりやすい。読み通した後に得られる知識は重厚なものとなるだろう。初学者にとっても、社会学を学んだ方にとっても、知的好奇心を大いにかきたてられる一冊であることはまちがいない。


本書の要点

・社会学を理解するためには「現に起きている社会現象に対して、ある種の不確実性の感覚をもつ」ということが重要であり、「社会秩序はいかにして可能か」という問いが社会学の主題となる。
・マルクスやフロイトのように「社会学」に収まりきらない学者も、社会学への影響を考えると、社会学史に加えなければならない。
・デュルケーム、ジンメル、ヴェーバーが社会学の絶頂期を形成し、パーソンズ、シュッツを中心とした「機能」と「意味」の社会学者が理論を洗練させた。そして、ルーマンとフーコーが社会学の「ツインピークス」となった。


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