【今日の一冊】 虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか


虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか
石井光太 (平凡社)


レビュー

あなたは、2015年に起きた「川崎中一男子生徒殺害事件」を覚えているだろうか。17〜18歳の少年3人が中学1年生の男子を呼び出し、カッターナイフで43回切りつけた末に殺害した事件だ。あまりの凄惨さに声を失った方も多いのではないだろうか。
その後捜査が進むにつれ、加害少年たちの劣悪な家庭環境が明らかになっていった。彼らは日常的に家庭内暴力や育児放棄を受けていたのだ。
精神医学や心理学の専門家は、少年犯罪の加害者たちの多くが虐待を受けた経験があると指摘する。幼い頃の虐待体験が、彼らを他人の気持ちを想像できない人間にしてしまい、犯罪に走らせていると分析されている。
少年事件が起こると必ず取り沙汰される「心の闇」。生まれたときは、誰もが純粋無垢な“天使”であったはずだ。それなのにたった十数年の間に、平気で罪を犯す“悪魔”へと変貌していくのだ。
本書は、「川崎中一男子生徒殺害事件」をはじめ、少年犯罪や虐待、貧困などの社会問題を長年に渡って取材・執筆し続けてきた石井光太氏による渾身のルポルタージュだ。石井氏は少年たちをはじめ、全国の少年院職員や関係者、被害者遺族に綿密な聞き取りを行い、事の本質を探っている。少年たちの心を壊したものは何か。問題の根源は何なのか。
罪を犯した少年たちは、いずれ社会へ戻ってくる。少年犯罪を「怖い」「かわいそう」で済ませてはならない。彼らと同じ社会に生きる者としてどう向き合うべきか――そう考えさせられる力作である。


本書の要点

・{{li:少年院に送られる少年たちは、幼い頃から家庭内暴力や性的虐待などを日常的に受けて育ってきたケースが多い。彼らにとって家庭とは、安心できる場所とは程遠いものだ。}}
・{{li:非行少年たちは自己否定感が強く、他人の気持ちを想像する力に乏しい。それは、自身が傷つけられた経験と深く関係している。}}
・{{li:少年院で矯正教育を受けても、再犯して戻ってしまう者が一定数いる。少年院を出た後の生活環境が、更生の可否を大きく左右する。}}


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