【今日の一冊】「株を買ってもらえる会社」のつくり方 楽天IR戦記


楽天IR戦記
市川祐子 (日経BP)


レビュー

本書は、楽天株式会社で約12年にわたりIR責任者として活躍してきた著者の奮闘の記録である。
IR(インベスター・リレーションズ)というと、企業と投資家をつなぐ役割、つまり「投資家向け広報」とイメージされることが多い。著者によれば、「広報」との大きな違いはこうだ。「広報」は企業イメージの向上をめざすのに対し、IRは資金調達を究極の目的としている。会社の価値と、価値を生み出すプロセスを投資家に説明して理解してもらい、さらには出資を引き出す。この道のりは、決して平坦なものではない。
本書では、企業と投資家の対話がどのようになされているのか、最前線に立ち続けた著者でなければ見ることのできなかった景色が描かれている。東証一部上場など、その時々で抱いた迷いや感情も包み隠さず述べられている。教科書のような無味乾燥な記述とは違い、IRの困難や喜びを追体験できる一冊だ。
経営者やIR担当の方々におすすめしたいのはもちろんだが、今や巨大企業となった楽天、そして三木谷社長の知られざる一面を垣間見れる本書は、誰が読んでも興味深いものであるにちがいない。楽天にまつわるニュースが報道されたとき、楽天の中では何が起き、どう対応していたのかも、克明に描かれている。また、巻末にはIRミニ用語事典もついており、専門用語を知らない方でも読みこなせる。視野を広げたい学生にも読んでいただきたい一冊である。


本書の要点

・{{li:投資家から投資を受けるには、企業の理念、価値を生み出すプロセスを説明し、理解してもらう必要がある。中長期スパンのIRでは、価値を創るストーリーが重要となる。}}
・{{li:企業が出す業績予想は、企業と投資家とのコミュニケーションツールの1つだが、数値だけにこだわるのではなく、対話であることを意識する必要がある。}}
・{{li:著者たちは、誠実なコミュニケーションによって築いてきた関係、積み上げてきたデータを活かして、海外投資家への公募増資を見事成功させた。}}


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