【今日の一冊】 人口で語る世界史


人口で語る世界史
渡会圭子(訳),ポール・モーランド (文藝春秋)


レビュー

なぜ英語は国際公用語のような地位についているのか。そのヒントは、英国(ブリテン)が覇権をとるに至った過程にある。端的にいえば、「人口が増えたこと」だ。本書は、人口の動向が大きく変わった、産業革命以降の直近200年に注目する。そして、人口の増減がさまざまな社会現象といかに深く結びついているかについて、多くのデータに基づいて説明する。当時の証言や著作物なども多く参照し、実際どのような感覚が人々にあったのかという傍証を与えている点が興味深い。
人口を増やそうとする政策はそのほとんどにあまり意味がなく、すべては出生数の増減、死亡数の増減、移民の増減が起きる要因に左右されているし、またそれが起きる要因も人口の増減に影響を受けることがわかる。人口の動向は、短中期的な政策ではそれほど変えられないのかもしれない。中国の有名な「一人っ子政策」やインドの悪名高き避妊手術奨励策も、必要ないものであったと著者は断じる。
そして、本書が追う人口の潮流は、これまでの歴史に加えて、たとえば現在の出生率低迷状態はどのように生じたのか、といった「いまの問題」にも接続される。大きな問題である日本の少子高齢化に迫ることももちろんできるし、若い人口が集中する中東やアフリカの情勢を見る視点も養うことができる。とくに、国際関係に関心のある方、グローバルなビジネスに携わっている方の好奇心を強く刺激するだろう。興味のある部分から拾い読みしてみるのもよいかもしれない。ぜひ読み物として楽しみながら、知的な洞察を深めてみてほしい。


本書の要点

・{{li:人口のファクターとなるのは、死亡率、出生率、移民である。そして人口が増えれば経済規模も大きくなる。}}
・{{li:公衆衛生が向上し、個人の健康状態が改善されると出生数は死亡数を上回る。この人口増と産業化が絡み合い、都市化と工業化が一気に進む。これが産業革命以降世界に広まっていった動きだ。}}
・{{li:今後の人口動向のポイントは、高齢化、人口増加率が低下することによる緑化の促進、白人の減少である。}}


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