【今日の一冊】 生き物の死にざま


生き物の死にざま
稲垣栄洋 (草思社)


レビュー

永遠の命を生きるクラゲがいたとしたら、決して老いることのないネズミがいるとしたら、彼らにとっての「死」とは何であろうか。
この地球上には数え切れないほどの生き物が生息している。人間の尺度では思いもよらない生涯を歩み、そしてさまざまな形で「死」を迎える生き物が。本書では、そうした数々の「死にざま」を眺めることで、「命をつなぐ」瞬間を垣間見る。
彼らはみな人間とは異なる存在だけれど、エッセイの中でどこか擬人化されたそれぞれの生物たちは、あまりに人間味にあふれていて、不思議と感情移入してしまう。生物ごとに描かれた挿絵がまた、その「生」と「死」の物語をより明確にイメージさせる。自分の人生を生きていると思っている人間にとっては、種のために死ぬその姿が愚かしく映るかもしれない。しかし、どちらがどう「愚かしい」と、だれが決められるのであろうか。
ところどころに、現実へのアレゴリーが含まれ、社会を風刺する表現も登場する。生物の死にざま、生きざまから、環境を壊すヒトの行動の愚かしさを嘆かずにはいられない。
人間とは遠いところから生命の話が始まったと思っていたら、最終的には人間自らの「死にざま」について考えることになる。本書の書きざまは軽妙でわかりやすい。それがより一層、読後のヒトの考えを深めてくれる。


本書の要点

・{{li:地球上の動物には、自分の死と引き換えに、種の存続を実現させているものがたくさんいる。そうして途方もなく長い期間、命をつなぎ続けている。}}
・{{li:川や海で産卵し、命をつなごうとするサケやウミガメなどは、人工物によってその機会を奪われている。}}
・{{li:ヒトのために生まれ、ヒトのために死んでいく生き物も多い。イヌの多くは殺処分されているし、人間に食べられるために改良されたブロイラーというニワトリは、暗い鶏舎で育てられ、生後40〜50日ほどで出荷されていく。}}


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