【今日の一冊】138億年全史 オリジン・ストーリー


オリジン・ストーリー
柴田裕之(訳),デイヴィッド・クリスチャン (筑摩書房)


レビュー

私たちはどこから来たのだろうか。人間は太古から問い続けてきた。それを語る神話や物語は枚挙にいとまがなく、世界中にバリエーションが存在する。しかし、この根源的な問いに答えるにあたって、我々はもはや神話には頼れない。我々が頼るのは科学だ。本書は、冒頭の問いに科学をベースにして答える、現代人のための「オリジン・ストーリー(万物の起源の物語)」だ。
本書が他と違う点は、単に歴史を追うだけでなく、人類、あるいは生物や宇宙が次の段階に進むために必要とした変化やイノベーションは何かを問う点にある。例えば生物が繁栄への道を歩んだ第一歩は「光合成の獲得」であった。「オリジン・ストーリー」とは「なぜ?」を問い続ける物語である。なぜ宇宙は存在するのか。なぜ生命は誕生したのか。なぜ人類はサルとは違う道を歩んだのか。本書はこれらの問いに豊かな学識をもって答えを提示しており、知的好奇心が刺激される。
本書は、これまでの歴史をたどった上で、最終的に宇宙の遠い未来へも思いを馳せる。この物語の中では人類の歴史はおろか、宇宙そのものの発生も、ほんの一瞬の時間にすぎない。壮大なスケールで描かれる、途方もない物語に圧倒される。今の自分の存在や悩みなどどうでもよくなりそうだ。
自然科学的に興味を持つ人はもちろんだが、忙しい現代の毎日に疲れた人にも勧めたい。しばし頭と心を休めて、果てしない物語に身をゆだねてみてはどうだろうか。


本書の要点

・{{li:本書は、宇宙の誕生から始まる138億年の歴史を、複雑さをしだいに増すプロセスととらえ、より複雑なものが現れたとりわけ重要な変わり目を、「臨界」と呼ぶ。}}
・{{li:宇宙の誕生は第一の「臨界」であり、ビッグバンの猛烈なエネルギーにより原子が生まれ、物質が生まれた。やがて恒星と銀河が誕生した。}}
・{{li:人間の登場は、オリジン・ストーリーの中でも大きな事件となった「臨界」だ。人間とサルを分けたのは「言語の獲得」であった。これにより人間は「集合的学習」が可能になり、知識の蓄積により複雑な社会を形成していった。}}


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