直6ディーゼルが強烈!BMWアルピナ「XD4」は走りの上質さも自慢です

直6ディーゼルが強烈!BMWアルピナ「XD4」は走りの上質さも自慢です

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長年培ってきた独自の技術とノウハウを注入し、BMW車ベースの高性能モデルを展開しているBMWアルピナ。セダンやクーペの印象が強い同ブランドだが、流行りのSUVもしっかりラインナップされている。

今回はその中からクーペSUVの「XD4」にフォーカス。強力な6気筒ディーゼルターボを搭載するこのモデルは、ディーゼルらしからぬ上質さな振る舞いが魅力の1台だ。

■ベース車と同じ部分はBMWの製品保証が適用

ドイツのアルピナは、知る人ぞ知る玄人志向の自動車メーカーだ。BMWから購入した車体ベースとするため見た目はBMW車に酷似しているが、エンジンやサスペンションといった走りのキャラクターを左右する部分にたっぷりと独自のエッセンスを振りかけ、独自の乗り味を楽しませてくれる。BMWと同じ素材を使いながら、独自のレシピに基づいた特別な調味料を使うことで異なる味に仕上げた作品といってもいいだろう。

製造は、BMWの市販車からパーツを取り外し、独自パーツに入れ替えるといったチューニングカーの手法ではなく、BMW車と異なる部分にはあらかじめ独自パーツを組み込んでいく。そんな背景もあって、ドイツではひとつの自動車メーカーとして認定を受けている。

日本においても、車検証における車名=メーカー名は“BMWアルピナ”となっており、輸入元は一般的なBMWとは異なる“ニコル・オートモビルズ”となる。しかし、BMWディーラーを通じて車両を購入できるほか、BMW車から変更を受けていない部分についてはBMWの製品保証がそのまま適用されるなど、ユーザーにとって購入しやすい環境が作られている。

意外な話だが、そんなアルピナにとって日本は大きなマーケットだ。同社が生産するクルマのうち20〜25%ほどが日本へ輸入されている。アルピナといえば玄人好みのクルマだが、日本にはそれだけ多くのクルマ通が存在するというわけだ(ちなみに、日本はスーパーカーの輸入台数も多く、世界有数のマーケットである)。

ただし、アルピナの生産規模は年間1700台ほどと少ない。だから欲しいと思ってもすぐには購入できない希少車なのだ。
■SUVも積極的にラインナップする昨今のアルピナ

そんなアルピナといえば、セダンやクーペを思い浮かべる人が多いのでは? しかし、SUV人気が顕著な昨今のマーケット事情を考慮し、アルピナもSUVをラインナップに加えている。BMWの「X3」をベースにした「XD3」、同「X7」をベースにした「XB7」、そして今回紹介する「X4」ベースのXD4がそれだ。

X4は「X3」とメカニズムを共用するBMWのクーペSUVで、日本車でいえばトヨタ「ハリアー」より少し大きく、ルーフ後半からリアウインドウにかけて大きく寝かされたクーペフォルムが特徴。SUVでありながら、なんともスポーティで軽快な雰囲気だ。

面白いのは、X4をベースとしたアルピナのモデルには、ディーゼルエンジンしか設定されていないこと。ガソリンエンジンの用意がないのだ。スポーツ性能に優れたクルマを手掛けるアルピナなのに、なぜにディーゼルだけなのか? それを理解するには、まず欧州マーケットのニーズを押さえておく必要がある。

欧州市場で販売されるセダンやステーションワゴンには、BMW「M340d」といったミディアムサイズのモデルから、BMW「7シリーズ」やメルセデス・ベンツ「Sクラス」といった最上級サルーンまで、パワフルなディーゼルエンジンがラインナップされている。また、ポルシェ「カイエン」やマセラティ「レヴァンテ」といった“速いディーゼルSUV”もひとつのカテゴリーが出来上がっている。アルピナのXD4は、それらの延長線上にあると考えられる。

特に、車両重量がかさみ低回転域での爆発力が求められるSUVや大型モデルは、ディーゼルエンジンとのマッチングに優れる。その上ディーゼルエンジンは、燃費の良さも魅力だ。アルピナなどの高額車を所有できる人々は、燃料代などさほど気にしないが、燃費の良さを活かした航続距離の長さは大きなメリット。ノンストップで数百キロの距離を移動する際、給油回数を減らせるのはタイムロスの削減に直結し、“時間の短縮”と“余裕”につながる。

つまり、時間を効率よく使いたい富裕層にとっては、航続距離の長さこそがディーゼルエンジンの魅力。そのため、そんな人たちをターゲットとするX4ベースのアルピナは、現状、ディーゼルエンジンだけの設定になっているのだろう。

というわけで、ディーゼルエンジンのみのラインナップとなるアルピナXD4だが、そのスペックはなんとも贅沢だ。

日本市場向けのX4には2リッターの4気筒ディーゼルターボが用意されるが、XD4のディーゼルターボは3リッターの6気筒。アルピナ独自の味つけが行われた同ユニットは最高出力388馬力、最大トルク78.5kgf-mというとんでもないパフォーマンスを発揮する。エンジンブロックを共用するBMW車向けの6気筒ディーゼルエンジン(340馬力/71.4kgf-m)と比べ、確実に強化されているのが分かる。

そんなエンジンに8速ATと後輪駆動ベースの4WD機構を組み合わせたXD4は、停止状態から100km/hまでわずか4.6秒で加速。アルピナ独自の指標である“巡行最高速度=走り続けられる速度”は268km/hをマークする。高性能ぶりを眺めているだけで、クルマ好きは楽しくなってくるはずだ。
■「本当にディーゼル?」と錯覚しそうなほど上質

それでは試乗へと出掛けよう。XD4は車内に乗り込んだ瞬間から、インテリアの仕上げの良さにハッとさせられる。

アルピナの各モデルは、極限の走りを追求したチューニングカーのような存在と思われがちだが、実はそうではない。アルピナ車は充実した移動時間を提供するツールであり、それを象徴するかのように、インテリアの作り込みもかなり上質なのだ。

“バーネスカ・レザー・インテリア”と名づけられた試乗車の室内は、シートの肌触りが繊細で、上質かつ丁寧に作られていることが分かる。オーナーに対して、優雅で上質な時間を過ごすためのラグジュアリーな空間を提供しようという、開発陣の心意気が伝わってくる。

上質といえば、ディーゼルエンジンの音も同様だ。ディーゼル車らしい“ガラガラ”とした粗い音はアイドリング時によく目立つが、XD4では微塵も感じられない。太い排気音や振動のなさも含めて、「本当にディーゼルエンジンか?」とスペック表を二度見しそうになったほどだ。

確かに、エンジン回転計が5000回転からレッドゾーンになることや、高回転域でのパンチ力にやや欠けることは、ガソリン車と比べた際のディーゼルターボ“らしい”部分。しかし、XD4のエンジンは高回転域でもしっかりと官能的に出力が盛り上がり、高揚感もそれなりに味わわせてくれる。

何より、2000回転から極太のトルクを生み出すため、ジワリとアクセルペダルを踏み込めば、どんな状態からでもググッと力強く加速してくれる。この感覚は運転していてクセになりそうだ。

このようにXD4の動力性能はかなりハイレベルだが、その真髄は性能を目いっぱい引き出して走るシーンでは味わえない。なぜなら、エンジンがドライバーの微妙な右足の動きにしっかり反応してくれる名機だからだ。ガツンと一気にアクセルペダルを踏みつけるのではなく、エンジンとの対話を楽しみながらジワリとアクセルペダルを踏み込み、速度をコントロールするのが気持ちいい。

もちろん、本気を出せばとことん速いが、XD4の真価は走りの味わい深さにこそある。速さだけを楽しむのではなく、移動そのものを満喫したい人にとってベターな超高性能車といえるだろう。

<SPECIFICATIONS>
☆XD4 オールラッド
ボディサイズ:L4760×W1940×H1620mm
車重:2120kg
駆動方式:4WD
エンジン:2992cc 直列6気筒 DOHC ディーゼル ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:388馬力/4000〜5000回転
最大トルク:78.5kgf-m/1750〜3000回転
価格:1385万円

>>BMWアルピナ「XD4」

文/工藤貴宏

工藤貴宏|自動車専門誌の編集部員として活動後、フリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドを軸とする新車の紹介・解説を得意とし、『&GP』を始め、幅広いWebメディアや雑誌に寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

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