6気筒版を超える身のこなし!4気筒のBMW「Z4」は軽快な走りが絶品です

6気筒版を超える身のこなし!4気筒のBMW「Z4」は軽快な走りが絶品です

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BMWのオープンスポーツカー「Z4」には、6気筒と4気筒、2タイプのエンジンが用意されている。

パワーやトルクなどで上をゆく6気筒版に対して、4気筒版はフロント回りの軽さを活かした軽快なフットワークが美点。4気筒のメリットを存分に味わえるリアルスポーツカーの魅力をチェックする。

■Z4はBMWのオープンカーの中でも特別な存在

「Z3」の後継車として2013年にデビュー。その後、2009年と2019年にフルモデルチェンジを実施し、現行モデルで3代目となるオープンスポーツカーがZ4だ。

そんな現行モデルにおける最大のトピックは、トヨタ「GRスープラ」と実質的な兄弟車だということ。両車は本拠とする国さえ異なるのになぜ? と思う人がいるのは当然だが、実はBMWとトヨタは技術提携を行っている。例えば、BMWが試作車両に組み込んでいる燃料電池ユニットはトヨタが開発したものだし、Z4とスープラというスポーツカーも共同で開発したものだ。

しかし、2台は共同開発によって誕生したとはいえ、共通点はそう多くない。車体設計の礎となるプラットフォームや骨格、エンジンやトランスミッションといったパワートレーン、そして、サスペンションの構造などは同じだが、共通なのはそういった基本部分にとどまる。

実際、Z4とGRスープラには、それぞれ異なる開発チームが存在し、デザインや走りの味つけなどを独自に開発。そのため、基本を共用する兄弟車といいながら、クルマとしては全くの別物だ。そもそも、Z4は電動開閉式ルーフ組み合わせたオープンカーであり、GRスープラは固定のルーフを備えたクーペと、ボディタイプからして異なる。

そんなZ4は、BMWとして唯一のオープン専用モデルだ。確かに「4シリーズ」や「8シリーズ」にはコンバーチブルが存在するが、それらはクーペをベースにオープン化したもの。対してZ4は、クーペモデルが存在しないオープン専用設計であり、シートレイアウトも後席のない2シーター。いい換えれば、BMWのオープンカーの中でも特別な存在なのだ。

Z4には2タイプのパワートレーンが用意されている。ひとつは、「M40i」グレードに搭載される6気筒エンジン。そしてもうひとつは、「sDrive20i Mスポーツ」グレードに搭載される4気筒エンジンだ。そのうち今回は後者をドライブする機会を得たので、そのインプレッションをお届けしたい。
■アクセル全開を楽しめる時間が長い4気筒版Z4

エンジンパワーは十分なのか? Z4を購入検討している人で、もしエンジンを4気筒にするか6気筒を選ぶかで悩んでいたら、多くの人は動力性能について心配することだろう。しかしZ4のエンジン選びでは、そうした点についてあまり悩む必要なない。なぜなら4気筒エンジンも十分なパワーを備えているからだ。

4気筒エンジンは排気量2リッターで、最高出力は197馬力、最大トルクは32.6kgf-mを発生する。スープラでいえばベーシックグレードの「SZ」のそれに相当し、セダンの「3シリーズ」だと「320i」とほぼ同じスペックだ。BMWの2リッター4気筒エンジンには、ほかに258馬力を発生する高出力タイプがあるが、Z4に積まれるユニットはベーシック版となる。

一方、6気筒エンジンは排気量3リッターで最高出力340馬力、最大トルクは51.0kgf-mを発生する。確かに数値だけ見れば大きな開きがあるものの、2リッター4気筒の197馬力が動力性能的に不足かといえば、決してそんなことはない。6気筒エンジンとの比較さえしなければ十分に力強く、Z4をキビキビと走らせることができる。

むしろエンジンパワーが適度なので、アクセル全開を楽しめる時間が長く、それが結果的に操る楽しさにつながるのだ。ある意味、6気筒の動力性能は過剰であり、サーキットでもない限りその性能は持て余すことになる。対して4気筒はバランスのいい適度なパワーといえるだろう。

しかし、6気筒エンジンに対して物足りない部分もある。それは官能性能だ。官能性能とは、パワートレーンの“色気”のこと。絶対的な性能ではなく、ドライバーの感性を揺さぶる能力のことだ。

その点において、緻密さを絵にかいたような回転上昇のフィーリング、高回転になるほど勢いが増す感覚、そして高回転時のパンチ力など、6気筒エンジンはすべてにおいて味わい深く刺激も強い。残念ながらそうした躍動感が4気筒エンジンでは物足りないのだ。
■ハンドリングの楽しさでは6気筒版のさらに上をいく

ただ一方で、4気筒エンジンには6気筒に対する確固たるアドバンテージがある。それはハンドリングだ。

そもそも、Z4のハンドリングはリアルスポーツカーそのものであり、6気筒モデルでもキレのあるシャープなハンドリングを味わえる。コーナーの入口でスッと軽快に曲がり始める姿は6気筒エンジンを積むクルマとは思えないほどで、その挙動はさすが“駆けぬける歓び”を自称するBMWだと実感させられる。

しかし、車体の鼻先が軽い4気筒モデルのそれはさらにシャープで、ハンドリングの楽しさにおいては6気筒モデルのさらに上をいく。4気筒モデルが6気筒モデルに凌駕している点は、まさにこの領域だ。

さて、そんな4気筒のZ4はどんな人に向いているのか? まずはできるだけ安価にZ4を手に入れたい人だろう。車両価格を比べると、6気筒のM40iは866万円で、4気筒のsDrive20i Mスポーツは691万円。軽自動車1台分ほどの価格差がある。

また、6気筒モデルに対して優れたハンドリングを味わいたいという人も、積極的に4気筒モデルを選ぶ価値がある。ハンドリングマシンとしては4気筒の方が魅力的だからだ。

より気軽に購入でき、動力性能に不満がなく、峠道でのハンドリングが楽しいZ4の4気筒モデル。sDrive20i Mスポーツは単なる廉価版ではなく、積極的に選ぶ価値のあるモデルだと断言できる。

<SPECIFICATIONS>
☆sDrive20i Mスポーツ
ボディサイズ:L4335×W1865×H1305mm
車重:1490kg
駆動方式:FR
エンジン:1998cc 直列4気筒 DOHCターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:197馬力/4500回転
最大トルク:32.6kgf-m/1450〜4200回転
価格:691万円

>>BMW「Z4」

文/工藤貴宏

工藤貴宏|自動車専門誌の編集部員として活動後、フリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドを軸とする新車の紹介・解説を得意とし、『&GP』を始め、幅広いWebメディアや雑誌に寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

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