新しい「ノア」「ヴォクシー」はココがスゴい!高い利便性を低価格で実現した多彩な“からくり”

新しい「ノア」「ヴォクシー」はココがスゴい!高い利便性を低価格で実現した多彩な“からくり”

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8年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたトヨタのミッドサイズミニバン「ノア」と「ヴォクシー」。従来モデルはコスパの高さなどでヒットを記録したものの、安全装備を中心に、ライバルに対して見劣りする部分が少なからずあった。

その点新型は、プラットフォームからパワートレーンまで大胆に刷新。さらには、ナビゲーションといった快適装備や安全装備にまで、トヨタの最新フェーズのものが採用されている。その進化の内容は「そこまでやるか!」とうならされるものだ。

そんな新しいノアとヴォクシーの魅力を、2回に分けてご紹介。第1回目となる今回は、デザインやユーティリティを中心にフォーカスする。

■2台とも新型へ生まれ変わったのは今のトヨタでは異例

デザインやメカが完全に刷新された新しいノアとヴォクシー。まずは両車の立ち位置と2台を取り巻く環境についておさらいしておこう。

ノアとヴォクシーが属すのは“Mクラスハイト系ミニバン”というカテゴリーで、日本のミニバン市場で最もボリュームの大きいゾーン。このカテゴリーに属すミニバンはすべて、全長や全幅を5ナンバーサイズほどに抑えながら、背を高くして広い室内を実現し、優れた実用性を確保している。

ノアとヴォクシーの直接的なライバルとなるのは、ホンダの「ステップワゴン」や日産自動車の「セレナ」といった辺り。中でもここ5年ほど、ヴォクシーはセレナと激しく販売台数のクラストップを争っており、1位の座をセレナに譲る年もあったほどだ。しかし、実質的に見た目が異なるだけのノアを合わせてカウントすれば、ノアとヴォクシーのクラスナンバーワンという地位は揺るぎないものとなっている。

そんなノアとヴォクシーの従来モデルは、カローラ店向けにノア、ネッツ店向けにヴォクシーと、販売チャネルに合わせてデザインや性格を変えていた。いわば販売店に合わせて仕立て直した兄弟車だったのだ。

しかし2020年5月から、トヨタの販売店は“全車種併売性”に。それによりカローラ店でもネッツ店でも、さらにいえばトヨタ店やトヨペット店でも、トヨタの看板を掲げているすべてのディーラーで、すべてのトヨタ車を扱うようになったのだ。そのため、各販売店に合わせた兄弟車を設定する必要がなくなり、「タンク」や「レジアスエース」といったモデルはあえなく消滅してしまったのである。

つまり、今回のフルモデルチェンジでいずれかに統一されてもおかしくない状況にあったノアとヴォクシーだが、どちらかが消滅することなく2台とも新型へと生まれ変わったのは、今のトヨタにとって異例のことなのだ。その理由は「ノアもヴォクシーも売れているから」というひと言に尽きるだろう。
■ヘッドライトが目立たない新発想デザインのヴォクシー

ただし、ノアとヴォクシーの関係性は従来モデルから少し変わった。

ノアには“標準タイプ”と“エアロ仕様”の2シリーズが用意されるが、開発責任者の水澗英紀氏によると、ノアのエアロ仕様は「従来型ヴォクシーのユーザーもターゲットに入れて開発した」という。

一方、ヴォクシーには標準タイプが存在せず、エアロ仕様だけの展開となった。水間氏によると新型ヴォクシーは「さらに個性を追求したモデルで、デザインの好き嫌いは分かれるかもしれないが、『これが好き』という指名買いの人や、『これまでのミニバンは落ち着きすぎていて購入対象ではなかった』という人にぜひ選んで欲しいモデル」だという。

トヨタの販売店が全車併売性となる中、ノアとヴォクシーが2台そろって存続することが決定したからこそ、ここまで思い切って2台をすみ分ける必要があったともいえる。

エクステリアデザイン、特にフロントマスクの形状は、ノアの標準タイプ、ノアのエアロ仕様、そしてヴォクシーと“三車三様”だ。

その中で注目したいのは、ヴォクシーのヘッドライトデザインだ。上下分割式の構造は従来モデルから継承するが、ハイ/ロービームの位置をバンパー部に設定するという大胆なデザインを採用してきた。

担当デザイナーによると、これにより「ヘッドライトの存在感を消したかった」という。確かに少し離れて眺めると、フロントグリルとヘッドライトとが同化しているように見え、オーソドックスなノアに対してヘッドライトが目立たない。これは新しい発想だ。

さらに新しいノアとヴォクシーは、その歴史において初めて、基本となるボディそのものが3ナンバーサイズとなった。従来型はエアロ仕様のみが3ナンバーサイズだったが、新型はノアの標準タイプも5ナンバー枠をはみ出す全幅となり、全車3ナンバーサイズになっている。

とはいえ、全長は4695oと従来モデルから変更がなく、全幅も1730oと従来のエアロ仕様より5o狭くなっている(標準タイプは従来比プラス35o)。また最小回転半径は従来と同様、5.5mをキープするから、自宅の車庫の幅が狭くて寸法的に厳しいという人を除けば、取り回しに関しては実質的に従来モデルと変わらないことだろう。
■広いキャビンをさらに使えるようにしてくれるアイデア装備

ユーティリティの面においても見どころが多いのが、新しいノアとヴォクシーの特徴。そのポイントは“従来モデルからの進化”と“新採用”のふたつに大別できる。

まず従来モデルからの進化として注目したいのは、2列目シートに採用された超ロングスライド機能。従来モデルも7人乗り仕様ではロングスライドが可能だったが、最後部まで下げるには、シートを左右にスライドさせて中央側へ寄せる必要があった。

しかし新型は、シート構造を工夫してホイールハウスとの接触を避けるようにしたことで、左右へのスライドなしに最後部へとスライドできるようになったのだ。スライド量は745oで、最後部まで下げた際の2列目シート足元の広さは驚くほどだ。

ちなみに上級グレードの2列目シートには、クラス初となるオットマンやシートヒーターを装備。快適性アップについても抜かりはない。

加えて新型は、従来モデルにはなかった8人乗り車の超ロングスライド機能も実現している。スライド量は7人乗り仕様よりも短いが705oと十分な量で、どのグレードを選んでも、ゆったり過ごせる2列目シートを確保している。

また3列目シートは、クッションの構造を“Sバネ”からネットタイプへと変更することで座り心地を向上させつつ、薄型化を図っている。そのおかげで、格納時の張り出し量が小さくなっているのがポイントだ。

これにより、従来モデルは格納/展開時にストラップの先に付いたロックを着脱する必要があったが、新型ではそれがなくなり、ワンタッチではね上げられるように。その結果、使い勝手が大幅にアップしている。

一方、新採用の装備としては、ドアの開閉に関する装備に注目したい。

その一例が、助手席側のスライドドアに付く可動式のステップだ。これは3万3000円のオプション品ではあるものの、ドアを開けた時だけ張り出し、乗り降りをラクにしてくれる便利アイテム。

この手のステップといえば、電動式を採用するのが一般的だが、電動式ではなくドアに連動して動く“からくり構造”とすることで、高い利便性を低価格で実現している。

また、新たに電動式を設定したリアゲートでは、どこでも任意の位置に止めて固定できる“フリーバックドア”が新しい。これは非電動式にも設定される便利機能で、途中の任意の位置で止められるようにすることで、「狭い駐車場ではリアゲートを開けられない」というウィークポイントを解消している。

また背の低い人でも、途中でゲートを止めて固定することで、無理なく開け閉めできるから使いやすい。
■電子プラットフォームの刷新でインフォテインメントも充実
新しいノアとヴォクシーは、多彩な先進機能も見逃せないポイントだ。

オーディオはノアの「X」グレードを除き、ディスプレイオーディオを標準装備するが、なんとそこに通信によるナビ機能を内蔵(購入から5年間は無料で使える)。実質的にカーナビが標準装備となるのだから、このクラスのミニバンとしてはちょっとした事件である。

また、ハンドル操作やブレーキ操作に加えて、ハイブリッド車では前進/後進、そしてATのPレンジへの切り替えも自動化した超簡単かつ正確なパーキングサポート機能も用意。さらにハイブリッド車では、クルマに乗る前や降りた後に車外からスマホ操作で車庫入れ/車庫出しを行える機能も搭載する。

実際に試してみたが、こちらの操作に対してスムーズにクルマが動くため、ストレスを感じない。これは相当使える機能だ。

多彩なシートアレンジによる快適性や、乗り降りのしやすさなどによる使い勝手も確かにすごいが、実は新しいノアとヴォクシーは衝撃的なまでにハイテクが満載されている。それはすなわち、この2台がトヨタにとって重要なモデルであることの裏返しでもある。

<SPECIFICATIONS>
☆ノア ハイブリッド S-Z E-Four(7人乗り)
ボディサイズ:L1695×W1730×H1925mm
車重:1710kg
駆動方式:E-Four(電気式4輪駆動方式)
エンジン:1797cc 直列4気筒 DOHC+モーター
トランスミッション:電気式無段変速機
エンジン最高出力:98馬力/5200回転
エンジン最大トルク:14.5kgf-m/3600回転
フロントモーター最高出力:95馬力
フロントモーター最大トルク:18.9kgf-m
リアモーター最高出力:41馬力
リアモーター最大トルク:8.6kgf-m
価格:389万円

<SPECIFICATIONS>
☆ノア S-G 2WD(8人乗り)
ボディサイズ:L1695×W1730×H1895mm
車重:1600kg
駆動方式:FWD
エンジン:1986cc 直列4気筒 DOHC
トランスミッション:CVT
最高出力:170馬力/6600回転
最大トルク:20.6kgf-m/4900回転
価格:304万円

<SPECIFICATIONS>
☆ヴォクシー ハイブリッド S-Z 2WD(7人乗り)
ボディサイズ:L1695×W1730×H1895mm
車重:1670kg
駆動方式:FWD
エンジン:1797cc 直列4気筒 DOHC+モーター
トランスミッション:電気式無段変速機
エンジン最高出力:98馬力/5200回転
エンジン最大トルク:14.5kgf-m/3600回転
モーター最高出力:95馬力
モーター最大トルク:18.9kgf-m
価格:374万円

>>トヨタ「ノア」
「ヴォクシー」

文/工藤貴宏

工藤貴宏|自動車専門誌の編集部員として活動後、フリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドを軸とする新車の紹介・解説を得意とし、『&GP』を始め、幅広いWebメディアや雑誌に寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

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