気持ちよく走れる!最新フェアレディZに込められた“Zらしさ”と先進のパワートレイン

ついに路上を走り出す日産の新型フェアレディZ。スカイライン400Rで知られたパワフルな3リッターV6エンジンに、新開発の9段オートマチック変速機の看板モデルは、はっきりいって楽しいのひとことなのです。

フェアレディZがベールを脱いだのは、2021年8月の米国ニューヨーク。22年1月に、日本向け仕様がお披露目され、ついに6月下旬からの発売です。

特に注目すべきは、デザインです。プロトタイプがお目見えしたときから、昔のモデルの面影あるなあと思わせられました。私が今回実車を見たのは、北海道に日産が持つテストコース。

ロングノーズ、変型ヘッドランプカバー、キックアップしたリアクォーターウィンドウ、後方で下がっていくファストバックスタイルと、「歴代モデルへのオマージュを感じさせる」(日産のプレス向け資料)という説明にも納得です。

■ ■開発者が心に抱く“オレのZ”

「フェアレディZは、これまで6代を数えます。そのなかで特に人気が高かったのは、初代であるS30(1969年)と、4代目のZ32(89年)。そこで今回はあえて、そのイメージを強く活かしています」

日産自動車グローバルデザイン本部に籍を置き、新型Zのデザインをとりまとめた入江慎一郎氏は、このように語ってくれました。

「S30を意識してフロントグリルの開口部を小さくしたいとか、デザイナーの希望はいろいろありました。それが、エンジンやブレーキのための冷却気を効率的に採り入れたいというエンジニアの意向と対立したりして、社内では協議の繰り返しでした(ちょっと笑)」

これを私的に解釈すると、従来のZのファンのために、と新型開発目標を立てたとき、日産自動車の開発者はみな“オレのZ”を持っていたということでしょう。

実際「ギアボックスやデフは、サーキットでもしっかり走れるもの」と、ドライブトレインの開発担当者は言います。

今回の9段トルコン式オートマチック変速機は、ダイムラー社から特許を買い、新型Zのスペックスに合うよう「8割がた」設計し直したといいます。彼にとってのZは、徹底的に走りが楽しめるクルマなのでしょう。ここにも“オレのZ”があると、私は感慨をおぼえました。

新型Zのモデルバリエーションは大きくいうと2つ。

変速機が、6段マニュアルと、上記のとおり9段オートマチックから選べます。エンジンは、298kW(405ps)の最高出力と475Nmの最大トルクを持つ3リッターV型6気筒がすべてのモデルで共用。グレードによってブレーキとタイヤサイズと快適装備が異なります。

従来のモデルは、ボンネットが妙に盛り上がっていました。新型は2550mmのホイールベースは同一ながら、全長4380mmに抑えられたボディサイズをうまく使い、すっと伸びたボンネットと水平基調の強い意匠で、エレガンスとスポーティさを両立させているなぁというのが私の感想。

走りは、まさにファントゥドライブがあります。メルセデス・ベンツはこの9段ATに電気モーターを組み合わせたマイルドハイブリッド「ISG」(インテグレーテッド・スターター・ジェネレター)としてCLSやEクラスに搭載しています。

1.5トンの新型Zは、ISGなしでも、発進から力強さを感じさせてくれ、加速をしていくと息ぎれまったくなし。しかも従来は最大トルクの発生回転数が5200rpmだったのに対して今回は5600rpmに引き上げています。

「それで、最後の最後まで力強さが連続する感じになっていると思います」

変速機の開発担当者の言葉どおり、7000rpmのレッドゾーン(それ以上エンジンを回すと壊れてしまうかもしれないという上限回転数)に達するまで、クルマは加速を止めません。なかなかシビれる感覚です。

日産によると「マニュアル変速機を好むファンも4割います」とのこと。今回のギアボックスも改良が加えられ、ゲート感が明確になるとともに、シフトフィールも改善されたそうです。滑らないよう人工スエード巻きで、扱いやすくなっています。

もちろん、マニュアルでギアを選び、エンジン回転数を操りながら走るのは、スポーツカーの醍醐味。私は6MTの「スタンダードモデル」に乗りましたが、速度計の上に設けられているレースカーのようなシフトアップインジケーターが赤(エンジン回転が上限に達していることを示す)になるまで回すと、最高の気分です。

一方、トルクがものすごく太いうえに、上の回転域までスムーズに回るエンジンなので、3速で固定していても、まるでオートマチックのように乗れてしまいました。

「GT-Rがモビルスーツだとしたら、Zはダンスパートナーだと思ってください」。

会場で会った、日産自動車商品企画部でブランドアンバサダーを務める田村宏志氏はそう言いました。田村氏は長いあいだ、GT-RとZのチーフプロダクトスペシャリストを務め、22年1月に定年を迎えたあと、現在のポジションで両モデルを見守っています。

ダンスパートナーというのは、目を三角にして、たとえばサーキットでのタイムアタックに挑戦するのでなく、すいすいと気持ちよく走るクルマってことだろうなと私は思った次第です。

たしかに、9段オートマチック変速機モデルは、よく出来ています。私が乗ったのは上級グレードの「バージョンST」。ギアボックスはエンジンのトルクバンドをうまく引き出してくれるので、アクセ…

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