カスタムウォッチで感じた”ユーザーがモノづくりを楽しむ”意義

カスタムウォッチで感じた”ユーザーがモノづくりを楽しむ”意義

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ここ数年、オーダーメイド制のカスタムウォッチが人気を博しています。主に新興メーカーによるこうした仕掛けは功を奏しており、その理由のひとつとして、単純に「モノ」を買うという行為だけでなく、自分でパーツを選んでオリジナルのアイテムを作るという「コト(行動)」の楽しさが大きいのではないかと思います。

これはDIYブームにも見られる現象で、既製品を買うのもいいけど本当に欲しいデザインなどは自分で作った方が愛着も湧くし満足度が高い。特に腕時計は毎日身に着けるものだから、カスタムウォッチがブームになったのもうなずけます。

そんな中、老舗の国産時計メーカーであるシチズンも「FTS(ファイン・チューニング・サービス)」というフルカスタムオーダーの事業に参入しました。これは…試してみたい!

さっそくサイトにアクセスするとカスタム画面が出てきます。ベースモデルとなるのは、累計販売10万本を超える名作であるアテッサ「AT8040」。10万円台という価格ですが、それに見合う機能性が満載。

まず定期的な電池交換が不要というシチズン独自の光発電技術「エコ・ドライブ」を採用し、自動的に時刻やカレンダーを修正する電波時計式で、しかも世界多局受信ワールドタイム機能付きだから、海外でも瞬時に時間を調整してくれます。

とまあ、実用面では文句なしに便利なので、あとは自分好みにカスタマイズするだけ。ケース・バンド・文字盤・リング・時分針・秒針の6カテゴリをセレクトできます。まずは軸となるキーカラーをどこに据えるかだな…、やっぱり文字盤だろう。と項目を見ると、最も種類の多い10パターンが選べます。

流行りの緑かな、でも定番のブルーも捨てがたいし、奇をてらってブラウンとかもありじゃないだろうか…。そんなことを悶々と考え始めたら、じゃあベルトは?針は?と収拾がつかなくなる事態に(笑)。完全に迷子になったため、思い切ってシチズンさんに直接アタックすることにしました。
■組み立ては熟練の技能者のみが手がける

&GP「あのぉ、FTSでぇ、迷いすぎてぇ、何が欲しいのか分からなくなったから実物を見たいんですけどぉ!」

シチズン広報「は、はぁ…。都内でしたらGINZA SIX(ギンザシックス)の実店舗でパーツを見ていただけますよ!」

完全に煮詰まった私の失礼な電話に快く対応していただき、実店舗にて取材できることに。場所は東京の銀座にあるエリア最大の商業施設「GINZA SIX」。シチズン直営店舗「シチズン フラッグシップストア 東京」にてFTSを紹介するコーナーがありました。

店舗の一角にあるのがFTS用のブースで、カスタムパーツが置かれています。それぞれを手にとって見せてもらうことができました。一応、サイト上であらかじめ作りたいモデルを決めておいて取材に臨みましたが、色味はほぼ同じで想像通り。

ただサイズ感や質感は間近にすると、より具体性が増します。

というわけで、いろいろと物色させてもらったところ大分イメージが固まってきました。で、方向性としては高級に見えつつ、他人と被らない個性的なスタイルのデザインがいいなあと。この悩んでいる時間も楽しく、カスタマイズの楽しさにハマる人の気持ちがよくわかります。と、ここでFTSの担当者の方にお話を聞くことができました。

高階「カスタマイズ、いいですよね。だけどFTSをやってみてわかったんですが、ユーザーのみなさん全員がカスタムしているわけではないようなんです」

なんと、購入者の中には作例だけを見て買われる方も多いとのこと。単純にカッコイイとか、他にも新社会人へのプレゼントや、意外なところで女性にも人気らしく、4万通りという豊富なバリエーションがなせる技なのでしょう。

品質やデザインについてのこだわりも聞いてみました。

高階「FTSは長野県にある飯田の工場で組み立てをしていまして、シチズンの中でも熟練の技能者だけが作業します。女性の技能者も多く、面白いのが彼女たち自身もFTSの腕時計を着けているんです。軽くて、文字盤が見やすくて、デザインも選びやすいのが理由のようです」

そしてメタリックな印象の強いアテッサにしては珍しくレザーバンドも用意されており、セレクトの幅が大きいのが受け入れられている要因でしょう。というわけで、FTSの質感と魅力がわかったところで取材終了。いざオーダーだ!

■腕時計を自分でデザインすることの楽しさが体験できる

一番人気は文字盤、ベルトともにブルーということでしたが、やはりプレミアム感を出すために所有したことのないカラーを選択。文字盤は大人っぽくて落ち着いた色合いのカーキブラウンにして、高級感あるゴールドのリング、そしてアテッサといえば軽量・頑丈なチタンケースだろうと。しかもブラックチタンは、シチズンが誇るステンレスの5倍以上の表面硬度を実現した「デュラテクトDLC」技術を生かしたもの。

さらに秒針のオレンジも、加工時の熱間鍛造工程で発光するチタニウムをイメージしたカラー。ブラウンとの相性も良く、視認性が高そうというのが理由。さて、サイト上で決めたらポチッとオーダー! 約2週間で出来上がるようです。ワクワクするぜぇ。

そしてあっという間に時は過ぎ10日後(思ったより早かった)、ついに届きました! 想像通りの仕上がりに思わず感動。カスタマイズしたことで、まさにオンリーワンな出来栄え(気持ち的に)。やはり装着すると軽さに驚きます。研磨の具合も素晴らしく、特にベルト部分はコマによって表面を鏡面にしたりマットにしたりで、いくつもの表情を持っています。

高階さん曰く「多様化した価値観に対応するため、我々もモノづくりを考え直しています。モノは人を豊かにしますが、そこに愛着がないと楽しめない。よく自転車とかに名前をつけるじゃないですか。メーカーがモノを作って終わり、ではなく、ユーザーの方が時計作りを主体的に楽しめるプロダクトが必要とされているんだと思います。

昨年リリースした、IoTと連携する『エコドライブRiiiver』という時計も、自分でアプリによって「機能に」カスタマイズ性を持たせた時計でした。だから、このFTSは「デザインに」カスタマイズ性を持たせたんです」とのこと。

高い技術力をメーカーが担保し、ユーザーが好きにデザインして楽しむ。FTSのサービスは、これからのモノづくりが向かうヒントになるようなプロダクトだと感じました。
※GINZA SIX 1階 シチズン フラッグシップストア 東京ではサンプルのみ展示。販売はしておりません
>> シチズン「FTS」

 

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(取材・文/三宅隆<&GP> 写真/田口陽介、三宅隆)