パワフルな心臓と調整可能な足が武器!ヤマハ「MT-09 SP」は操る楽しさ濃密です

パワフルな心臓と調整可能な足が武器!ヤマハ「MT-09 SP」は操る楽しさ濃密です

パワフルな心臓と調整可能な足が武器!ヤマハ「MT-09 SP」は操る楽しさ濃密ですの画像

近年、ヤマハのバイクの中で人気を集めているのが「MT」シリーズ。250ccクラスの「MT-25」から1000ccクラスの「MT-10」まで幅広いラインナップをそろえ、同社のロードスポーツモデルの中核を担う存在となっています。

そんなMTシリーズ人気の口火を切ったのが、845ccの3気筒エンジンを搭載した「MT-09」。今回はその上級グレード「MT-09 SP」に試乗し、人気の理由を探ってみました。

■高品質な足回りを搭載した待望の上級仕様

MT-09の初代モデルは2014年に登場。2017年のフルモデルチェンジによって、デザインがよりとがった印象になるとともに、各部のブラッシュアップが図られました。そして2018年には、高性能な前後サスペンションを装備したMT-09 SPが追加されています。

MT-09 SPに搭載されるエンジンは、スタンダードモデルと同じ845ccの3気筒で、最高出力116馬力、最大トルク8.9kgf-mのスペックに変更はありません。2気筒エンジンのようなトルク感と、4気筒に匹敵するスムーズさを“いいとこ取り”したこのパワーユニットこそ、MT-09が高い支持を集める要因のひとつであり、アクセルを開けた瞬間に弾けるような加速感を味わえます。特に、走行モードを最も元気のいい「Aモード」にすると、強烈な加速に目がついていかないほど。同社の3輪バイク(同社では「LMW」と呼びます)「NIKEN」にも搭載されるなど、現在のヤマハを代表するパワーユニットのひとつといえます。

スタンダードとSPモデルの最大の違いは足回り。フロントフォークはKYB製で、スーパースポーツに匹敵する減衰力を発揮させるとともに、伸び側・圧側の減衰力調整が可能なフルアジャスタブル仕様となっています。

一方のリアサスペンションは、フルアジャスタブル仕様のオーリンズ製で、バネレート、減衰力ともに、スタンダードより締め上げられています。スタンダードのMT-09は、コンパクトな車体にパワフルなエンジンの組み合わせた力強い加速感に定評がありますが、それに対し、足回りが柔らかいとの指摘が多かったのも事実。

減衰力の調整機構も搭載されていなかったため、ベテランライダーなどからは高性能な足回りを求める声も多かったといいます。それに対応すべく発売されたのが、今回試乗したMT-09 SPというわけです。
■バイクとの一体感が高まるライディングポジション

MT-09でユニークなのが、ライディングポジション。エンジンの上に座るような位置にシートがあるため、着座位置はかなり前方で、アップタイプのハンドルが相対的にかなり近く感じます。これは、初代モデルからの特徴であり、スーパーモタード(オフロードバイクにオンロードタイヤを履かせたマシンで競われるレース)の要素を採り入れたもの。

前傾姿勢のロードモデルに乗り慣れた人は、違和感を覚えることもあるようですが、バイクの重心に近い位置にライダーが座れるので、急な加速やブレーキング、車体をバンクされた時などの動きに対応しやすいというメリットがあります。

実はこれ、個人的にはかなり好みのライディングポジション。バイクとの一体感が高まるため操作しやすく、前傾がキツくないので街乗りや渋滞に巻き込まれた際にも腰や肩にかかる負担が少ないように感じます。ちょっと幅が広く、車体を抑えやすい形状のハンドルは好みが分かれるところでしょうが、筆者にはしっくりきました。

SPモデルならではの高品質なサスペンションは、走り出す前からその実力を体感できます。押し歩きする際もサスペンションの動きがしっとりしているのを感じられ、またがった際に沈み込む動きもしっかりと減衰が効いているのが伝わってきます。

その性能の高さは、街を抜けてワインディングに入ると一層明らかに。スタンダードのMT-09は、ペースを上げると前後サスペンションが動きすぎる傾向があります(これも、スーパーモタードのような特性を狙ったもの)が、MT-09 SPはサスの沈み込む量こそ大きな差はないものの、沈み込む動きに抑制が効いていて、しっかりと路面を捉えているのが伝わってきます。
■セッティングを自らいじる楽しさがある!

さて、MT-09 SPの足回りには調整機構が備わっているので、走行シーンに合わせて前後サスペンションのセッティングをいじってみることにします。

まずフロントフォークは、もう少し動きをゆるやかにしたかったため、伸び側と圧側の双方を3クリックずつ締めてみました。携帯ツールがあれば簡単に調整できるのはありがたいポイントです。

逆にリアサスペンションは、少しギャップで跳ね上げられる挙動が気になったので、柔らかくなる方向へセッティング。こちらは工具さえ不要で、ダイヤルを回すだけで簡単にセッティングを変えられます。

最終的に今回走ったワインディングでは、フロントは圧側を少し戻したところが、マッチングが良い印象でした。セッティングがライダーの好みに合うと、さらに車体との一体感が高まり、意のままにバイクが動いてくれる感覚が強まります。この感覚がとても楽しい!

スタンダードモデルでも楽しいMT-09ですが、MT-09 SPはさらに、操る面白さがアップした印象です。スタンダードとSP仕様の価格差は10万円強ですが、オーリンズ製のリアサスペンションだけでも10万円オーバーはするので、この価格設定はバーゲンプライスといってもいいでしょう。MT-09 SPの発売以来、販売台数はSPの方がスタンダードを上回っているという話もうなずけるところです。

さて、MT-09 SPでひとしきりワインディングでのライディングを楽しんだ後、帰路につきます。すると、街中を低速で走っている際に、フロントが少し硬く感じられるように。やはり、サスペンションは走る場所や速度、かかる荷重に合わせてセッティングを変えるのが一番のようです。減衰力を弱めれば、MT-09 SPもスタンダードと同等の柔らかさに調整できるので、街乗りではその状態で走り、ワインディングに到着したら携帯ツールでセッティングを変える。そんな乗り方が、このマシンには合いそうです。

サスペンションのセッティングなんて分からない…という初級者も、実際にいじって走ってを繰り返すことで感覚が身に着くため、予算に余裕があれば絶対にSPがお勧め。バイク本来の面白さを、より深く味わわせてくれることでしょう。

<SPECIFICATIONS>
☆MT-09 SP
ボディサイズ:L2075×W815×H1120mm
車両重量:193s
エンジン:845cc 水冷3気筒 DOHC
トランスミッション:6速MT
最高出力:116馬力/1000回転
最大トルク:8.9kgf-m/8500回転
価格:113万3000円

[関連記事]
サヨナラが名残惜しい!35年の最後を飾るヤマハ「セロー」ファイナル仕様

傑作がついに復活!スズキの新生「KATANA」は見ても乗っても質感が高い

ネイキッドもフルカウルもスポーティに進化したホンダ「CB650R」&「CBR650R」

文&写真/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

関連記事(外部サイト)