おめでとう50周年!スズキ「ジムニー」の輝かしい系譜と未来の可能性

おめでとう50周年!スズキ「ジムニー」の輝かしい系譜と未来の可能性

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2020年はスズキにとって、創立100周年というアニバーサリーイヤー。そんな記念すべき年に誕生50周年を迎えたのが、同社が手掛ける本格4×4の「ジムニー」です。

1970年4月にデビューしたジムニーは、以降、日本だけでなく、アジアやヨーロッパのマーケットでも根強い人気を獲得。世界累計販売台数は、2019年春に290万台を突破しました。今回は、半世紀に及ぶロングセラーに敬意を表し、スズキが誇る“人気者”=ジムニーの輝かしい系譜を振り返りつつ、未来の可能性を占います。

■“プロ用ツール”として愛され続けるタフな4WD

>>初代/1970〜1981年
大阪万博が盛り上がりを見せていた1970年4月、スズキからエポックメイキングな1台が登場します。それが「自然に挑戦する男のくるま」など、過酷な使用環境を想起させるキャッチコピーが話題となった初代ジムニーです。そうしたコピーを裏づけるように、軽自動車で唯一、ラダーフレームや副変速機付き4WDシステムなどの本格メカを採用。リアルオフローダーとしての道を歩み始めたのです。

初代ジムニーがデビューした当時、日本ではすでに、トヨタ「ランドクルーザー」や三菱「ジープ」といった乗用車規格の4WD車が販売され、プロの現場で活躍していました。そんな中ジムニーは、軽自動車規格ならではの小回りの良さや維持コストの安さなどを武器に、ランクルやジープに負けない活躍を披露。大規模な建設現場や各種インフラ事業、林業関係といった過酷な現場で使われるようになります。

こうしたプロ用途における信頼が一般の人々にも知られるところとなり、本格派に憧れるユーザーを中心に、ジムニーをレジャー用ビークルとして注目する人が増加。今に続く根強いジムニー人気は、こうして始まるのでした。

初代ジムニーのエンジンは、当初、排気量359ccの空冷2サイクル2気筒でしたが、後に水冷3気筒エンジンへと刷新され、さらにその後、排気量を539ccに拡大するなど、年を経るごとに進化を重ねていきました。またボディも、初期型は簡易的な幌を備えたオープン仕様でしたが、追って、パネルバンがラインナップに加えられることになります。

また初代ジムニーは、モデルライフの終盤、海外マーケットへ向けての輸出を開始。4サイクルの797ccエンジンを搭載した輸出仕様は、「ジムニー8」という名で日本市場でも発売されました。
>>2代目/1981〜1998年

初代のデビューから11年の時を経た1981年、ジムニーは初のフルモデルチェンジを経て2代目へと進化します。エクステリアはボクシー、かつモダンなイメージのデザインとなりましたが、コンパクトな車体の四隅に大径タイヤを配するなど、その姿はひと目でそれと分かるものでした。

ボディは初代と同様、ソフトトップとメタルトップ(金属製の屋根を備えた箱型ボディ)がラインナップされ、初期型の前者には、幌ドア、ハーフメタルドア、メタルドアといった具合に、複数のドアが用意されました。

また、17年間のモデルライフにおいて、メカニズム変更が何度も繰り返されたのも2代目ジムニーの特徴です。デビュー当初は、排気量539ccの水冷2サイクル3気筒エンジンを搭載していましたが、追って、543ccのターボ付き4サイクル3気筒を追加。その後、軽自動車の規格拡大に合わせ、657ccのターボ付き4サイクル3気筒エンジンへと変更されました。そして最終型では、アルミ合金製のDOHC4バルブエンジンを搭載したモデルも追加されています。

2代目ジムニーは、軽自動車規格の変更を受け、内外装やメカニズムが大幅に変更されたほか、バリエーションの拡充にも積極的でした。モデルライフの途中で、ハイルーフ車や、ハイルーフ部に小さな窓を設けたパノラミックルーフ車、小型車規格となる1000ccや1300ccエンジン搭載車が登場。今に続くワイドドレッド&小型車規格の「ジムニーシエラ」が追加されたのも、この2代目の時代です。

そして1995年には、サスペンションがリーフスプリングからコイルスプリングへと変更され、快適性や操縦性の向上が図られました。また2代目以降、ジムニーはアジアやヨーロッパでも生産されるようになり、各地の環境に合致した派生モデルがいくつも登場しています。
■時代のニーズに合わせてデザインやメカを刷新

>>3代目/1998〜2018年
エクステリア、インテリアともに、洗練かつスポーティなデザインへと生まれ変わった3代目ジムニーは、20年という長きにわたって生産されました。その一方、オフロードの走破力や信頼性に対するこだわりは不変で、ラダーフレームやリジッド式サスペンションといったメカニズムも、新たな設計を施した上で継承されました。

エンジンは、最高出力64馬力の660cc直列3気筒DOHCターボで、トランスミッションは5速MTと4速ATが用意されました。

また、安全性や快適性の向上を求める声に応え、エアバックやABS(1999年末以降は全グレードに標準装備化)、パワーウインドウなどが設定されるようになったのも2代目ジムニーの時代です。

そして2002年には、フロント回りのデザインを変更。さらに2004年には、インパネ回りを始めとする内装デザインが一新され、変副変速機の切り替え操作もレバー方式からスイッチ式へと改められました。こうして3代目ジムニーは、ほぼ2年に1度のペースで改良を受け、絶えずブラッシュアップを重ねていきます。

一方、2代目のモデルライフ途中に登場したジムニーシエラの流れを汲む小型車規格モデルは、「ジムニーワイド」として1998年初頭にデビュー。こちらには最高出力85馬力を発生する1.3リッター直4エンジンが搭載されました。さらに2000年には、新開発エンジンへと心臓部を刷新。さらに2002年には、ネーミングを再びジムニーシエラへと戻しています。
>>4代目/2018年〜

3代目までの実績と信頼をステップに、2018年7月、20年ぶりのフルモデルチェンジで生まれ変わったのが現行の4代目ジムニーです。

4代目のルックスは、どことなく懐かしい、かわいらしいもので、小さいボディサイズながら、独特の力強さや存在感が漂うもの。前身の3代目からは一転、初代や2代目に通じるボクシーなスタイルに生まれ変わり、切り立ったフロントウインドウや、フェンダー側まで回り込んだ“クラムシェルタイプ”のエンジンフードなどがシルエットにおける特徴となっています。

さらに、丸型ヘッドライトやその脇に配されたターンシグナルランプなど、往年のモデルに倣ったディテールを採用。この辺りは、半世紀に及ぶ歴史の重さを感じさせる部分といえるでしょう。

ジムニーの卓越したオフロード性能に欠かせない、ラダーフレーム、副変速機付きパートタイム4WD、3リンクリジッドアクスル式サスペンションといったDNAは、現行モデルでももちろん継承。しかも、3代目のそれをそのままキャリーオーバーするのではなく、ラダーフレームにはXメンバーと2本のクロスメンバーを追加して、ねじり剛性を約1.5倍にアップさせたり、新開発のボディマウントゴムでフレームから伝わる衝撃や振動の吸収力を高めたりといった具合に、快適性向上のための改良が加えられています。

加えて4代目は、電子デバイスで走破力向上を図っているのもポイント。悪路走行時にタイヤが空転した際、そのタイヤにだけブレーキをかけて反対側車輪の駆動力を確保する“ブレーキLSDトラクションコントロール”や、登坂時にクルマが後退するのを防ぐ“ヒルホールドコントロール”、急な坂道を下る際、ブレーキ操作なしに一定速度を保てる“ヒルディセントコントロール”などが装備されています。

そのほか4代目は、時代の要請を受けて燃費性能を向上。さらに、単眼カメラとレーザーレーダーでクルマや歩行者を捉え、万一の際には自動ブレーキで衝突の被害軽減や回避を図る“デュアルセンサーブレーキサポート”を上位グレードに装備するなど、安全性能も高められています。

以上、駆け足ではありますが、ジムニーの半世紀に及ぶ歴史について振り返ってみました。最新の4代目は、街で目にする機会こそ増えてきましたが、それでもまだまだ、オーダーから納期までには長い時間を要するのだとか。登場からもうすぐ丸2年が経とうとしていますが、歴代モデルのエレメントを凝縮した4代目の人気は一向に衰える気配がありません。

そんな中、世のクルマ好きからは、ロングボディの5ドア仕様や、後方に荷台を設けたピックアップトラック仕様の登場を期待する声が挙がっています。現状のような驚異的な人気が続く限り、バリエーション拡大はしばらくお預けとなりそうですが、昨今のSUV人気を受け、より本格的なリアルオフローダーへの注目度が高まっているのも事実。そうした状況を踏まえると、そう遠くない将来、4代目ジムニーの新バリエーション誕生も十分期待できるのではないでしょうか。

今や、限られたひと握りのプロだけでなく、多くの人々から愛されるクルマへと成長したジムニー。抜群の人気を誇る4代目も、その輝かしい歴史に新たな1ページを刻むことでしょう。

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文&写真/村田尚之

村田尚之|自動車専門誌やメーカー広報誌などを手掛ける編集プロダクションを経て、2002年にフリーランスライター・フォトグラファーとして独立。クルマや飛行機、鉄道など、乗り物関連の記事を中心に執筆・撮影。そのほか、カメラやホビーアイテムの取材・執筆も得意とする。

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