シートだけでも買い!ボルボ「XC90 B5」の限定車はエンジンも内装も次世代志向

シートだけでも買い!ボルボ「XC90 B5」の限定車はエンジンも内装も次世代志向

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ボルボの最上級SUV「XC90」のラインナップに、新しいパワーユニットが加わった。その正体は、昨今、ヨーロッパ車を中心に採用が進む“48Vハイブリッド”だ。

今回は、新しい心臓部の実力を検証するとともに、ボルボらしいインテリアが魅力の限定車について解説する。

■デザインと安全装備が進化した最新のXC90

スウェーデンを拠点とする自動車メーカー・ボルボは、近年、スカンジナビアンデザイン特有のモダンさと暖かみを前面に押し出したデザインを採用。そこに、以前からの優れた実用性と安全性を重視した独自のクルマ作りが相まって、世界中で多くのファンを獲得している。

今回フォーカスするXC90は、そんなボルボ車の中で最も大きい最上級のSUVだ。ボディサイズは全長4950mm×全幅1960mm×全高1775mmで、ゆとりある室内には3列のシートを配置している。

そんなXC90は、デビュー以来、世界で平均して年10万台のペースで売れ続けている。日本でも、年1000台ほどのセールスを記録する人気モデルとなっているが、これはインポーターのボルボ・カー・ジャパンが当初想定していたペースを上回る数字だという。

エクステリアデザインは、メルセデス・ベンツ「GLE」やBMW「X5」といったライバル車のように強い個性こそないものの、洗練された雰囲気が魅力。メルセデス・ベンツやBMWのモデルのように、分かりやすい記号性や強い主張は不要で、「目立ちたくはないけれど、上質なクルマに乗りたい」と考える人にとって、XC90はジャストな選択といえるだろう。

2019年8月、現行モデルになって初めてエクステリアデザインの変更を受けた最新のXC90は、フロントグリルや前後バンパーが新しい意匠となり、一部グレードではアルミホイールも刷新された。同様に、インテリアにも小変更が加えられ、本革シートや、より上級な“パーフォレーテッド・ファインナッパレザーシート”に、スレートと呼ばれるグレー系のカラーを追加。また、プラグインハイブリッド仕様の「T8ツインエンジン AWD」に採用されるオレフォス社製クリスタルシフトノブは、新しいデザインへと変更されている。

さらに最新モデルは、安全機能も進化している。衝突回避・被害軽減ブレーキシステムに衝突回避を支援するステアリングサポート機能が加わり、ブレーキだけでは衝突を回避できない時は、車両が自動的にステアリング操作を補って衝突回避をサポートする。加えて、駐車スペースからバックで出ようとする際などに、近づいてくる車両や歩行者を検出するとドライバーに警告し、接触しそうになると自動ブレーキをかける“クロス・トラフィック・アラート”も搭載された。ドライバーのミスをフォローしてくれる機能が充実し、事故の恐れを回避できる可能性がさらに高まった。
■次世代を見据えた新しいパワーユニットとシート生地

2020年に入っても、XC90に関するニュースが相次いでいる。

そのひとつは、新しいパワーユニットの追加だ。これまでXC90に設定されていたのは、ディーゼルエンジンの「D5」とガソリンエンジンの「T6」、そして、プラグインハイブリッドの「T8ツインエンジン」という3種類だったが、先頃「B5」と呼ばれる新しいパワーユニットが追加された。

B5とは、ガソリンエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド機構だが、トヨタ「プリウス」に代表される日本の主なハイブリッドカーとは考え方が全く異なる。例えば、プリウスは98馬力という強力なモーターを積んでいて、エンジンを止めてモーターだけで走ることもできるが、B5のモーターは13.6馬力と出力が小さいため、モーターだけで走ることはほぼない。

その代わりといってはなんだが、エンジンはターボ付きで250馬力とかなりパワフル。モーターはあくまでエンジンのサポート役に徹するシンプルな仕組みとし、「コストを抑えながら最大限の燃費向上効果を狙う」という考え方を採る。ボルボ・カー・ジャパンによると「モーター搭載による燃費向上効果は8%程度。エンジン本体の改良なども合わせると10%強の燃費アップにつながる」という。

ちなみに、B5搭載車の駆動方式は4WDのみとなっている。プラグインハイブリッドのT8ツインエンジンは、同じ4WDでも後輪をモーターで駆動させる“電動4WD”の方式を採るが、新しいB5はD5やT6と同様、後輪へと機械的にパワーを伝えるコンベンショナルな方式を採用している。

XC90に関するもうひとつのニュースは、B5搭載車に「B5 AWD テイラードウール・エディション」という限定車が登場したこと。注目は“テイラードウールブレンド”と呼ばれる、リサイクルポリエステル素材70%にウール30%を加えたシート生地だ。上質でありながら環境負荷を最小限に抑えているのがポイントで、次世代への提案型マテリアルといっていいだろう。

このほかB5 AWD テイラードウール・エディションには、“ブラックアッシュ・ウッド・パネル”と呼ばれるデコレーションパネルや、“クライメート・パッケージ”、チルトアップ機構付電動パノラマ・ガラス・サンルーフ、ハーマンカードン製プレミアムサウンド・オーディオシステムといった人気の高いオプションを標準採用。

さらに足下には、20インチホイールに275/45R20サイズのタイヤをセットしている。

ちなみに、幅広タイヤの装着に合わせ、タイヤの周囲を覆うフェンダーエクステンションも通常モデルより幅広いものを採用している。
■B5との組み合わせでも“いいクルマ”だと実感

今回の試乗車は、そんなXC90 B5 AWD テイラードウール・エディション。日本市場への割り当て台数はわずか15台という希少性の高いモデルだ。

エクステリアが変更された最新のXC90に触れるのは初めてだったが、正直なところ「いわれなければ気づかない」といったレベルのデザイン変更に過ぎない。いい換えれば、XC90のデザインレベルは以前から高かったことの証でもある。それでいながら、最新モデルは従来車より洗練された雰囲気が強い。従来型オーナーを落胆させることなく、それでいて「何かが違うぞ」と思わせる絶妙なデザイン変更といえるだろう。

注目のテイラードウールブレンド・シートは、本革シートのような分かりやすい高級感こそないものの、上質なファブリックらしいモダンな雰囲気を伝えてくる。この控えめなプレミアム感は、ボルボらしさという意味においてはとても魅力的だ。

ファッションの世界では、昨今“本革ではない上級感”を求める動きがあるため、今後、自動車の世界でも、同様の考え方が普及することだろう。ボルボが提案するテイラードウールブレンド・シートは、そのきっかけとなるかもしれない。

走らせてみての印象は「ハイブリッドカーでありながらモーターで走る感覚が全くないな」というものだ。日本で普及しているハイブリッド車はモーターで走る感覚が強いものが多いが、B5の走行感覚はそれらとは全く異なる。モーターはあくまで、裏方に徹しているのだ。

一方、ガソリンエンジンならではの軽快感は、従来のガソリンターボ車より確実に増している。その理由は、アクセルペダルを踏み込んだ際、反応良く加速してくれるため。発進時は、トルクを素早く発生するモーターがしっかりとアシストしてくれるし、高速巡航状態からさらに加速する際には、今回の改良で搭載位置がエンジンに近づき、レスポンスがアップしたターボチャージャーの効果が効いているようだ。

ちなみにB5のエンジンには、燃費を向上させるべく、エンジンに掛かる負荷が小さい領域では4気筒のうち2気筒の燃焼を止める“気筒休止”機構が採用されている。しかし、あまりに作動がスムーズなため、走行中にその存在を意識することはなかった。一瞬「作動していないのではないか?」とさえ感じたが、15km/Lに迫る良好な高速巡行燃費を記録するところを見ると、きちんと作動しているようだ。

XC90は2016年のデビュー以来、世界で120以上の賞を獲得している。洗練された雰囲気や上質で快適な室内空間、そして、充実した安全装備と、スポーティ感と乗り心地とをバランスさせた乗り味などを備えるXC90は、乗るたびに“いいクルマ”であることを実感させられる。その新たな選択肢であるB5は、ハイブリッドカーでありながら、ガソリンエンジン車以上の走る楽しさを実現している。モーターで走る感覚が強いハイブリッドカーの走行フィールを「嫌い」だという人も少なくないが、そんな人にこそ、アクセル操作に対する加速の反応やフィーリングが良好なB5ユニットをぜひ試してもらいたい。

<SPECIFICATIONS>
☆B5 AWD テイラードウール・エディション
ボディサイズ:L4950×W1960×H1775mm
車重:2120kg
駆動方式:4WD
エンジン:1968cc 直列4気筒 DOHC ターボ+モーター
エンジン最高出力:250馬力/5400〜5700回転
エンジン最大トルク:35.7kgf-m/1800〜4800回転
モーター最高出力:13.6馬力/3000回転
モーター最大トルク:4.08kgf-m/2250回転
価格:896万円

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文/工藤貴宏

工藤貴宏|自動車専門誌の編集部員として活動後、フリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドを軸とする新車の紹介・解説を得意とし、『&GP』を始め、幅広いWebメディアや雑誌に寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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