死後4時間経った豚の脳の復活に成功!意識は…”生物の死”の定義が揺らぐ衝撃実験!

死後4時間経った豚の脳の復活に成功!意識は…”生物の死”の定義が揺らぐ衝撃実験!

死後4時間経った豚の脳の復活に成功!意識は…”生物の死”の定義が揺らぐ衝撃実験!の画像

 死の定義が揺らぎ始めた。今月17日、科学誌「Nature」に、死後4時間経った豚の脳の機能を一部復活させることに成功したという衝撃的な論文が掲載された。この実験の成功により、生物の死とは何かが改めて問われることになりそうだ。

 このたび論文を発表したのは、かねてより豚の脳を生存させる研究で物議を醸してきたネナド・セスタン氏率いる米イェール大学医学大学院神経科学部の研究チームである。セスタン氏は2018年4月にも断頭した豚の脳を最大36時間生存させたと発表して、大きな議論を巻き起こしていた。

【その他の画像はコチラ→https://tocana.jp/2019/04/post_92984_entry.html】

 セスタン氏は「BrainEX」という脳に人工血液を循環させる特殊な装置を開発しており、今回の研究でもこの装置を死んだ豚の脳に接続して実験を行っている。実験に使用された豚32頭はは研究所近くの食肉処理場でと畜されたもので、断頭して脳を取り出してBrainEXに接続、体温程度(37℃)の温かな保存液や栄養や酸素を運ぶ人工血液を脳内の血管にめぐらせた。

 すると、その死からおよそ4時間経っているにもかかわらず、脳内のニューロンや細胞で、糖を消費したり二酸化炭素を産出するなどの代謝機能が再開した。脳の免疫システムも働いているように見えた。6時間にわたる観察により、脳細胞の死は減少し、組織や細胞の構造が保存され、シナプスによる情報伝達システムも働くことが確認された。一方で、酸素や栄養素が行き届いていなかった領域では細胞の崩壊が進んでいた。

 脳細胞の一部再生は確認されたものの、意識が復活した兆候は検出されていない。そもそも、人工血液の中には脳神経細胞の電気的活動を防止するような化学物質、つまり意識の復活を防ぐための物質が含まれていた。しかし、実験中の脳は常にモニタリングされており、意識の回復を示すようなサインがあった場合、即座に麻酔を注入して実験を中止する準備もなされていた。

 死んだ豚の脳は死後4時間後に一部機能を回復させたものの、その意識は戻らなかった。実験はさらなる好奇心をかきたてる。4時間よりもっと早くBrainEXに接続した場合はどうなるのか、神経細胞の電気的活動を防止する物質を投与しなかったらどうなるのか、脳だけでどれだけの期間生きられるのか……。

 現在のところ、BrainEXの使用には頭蓋骨から脳を取り出さなければならず、セスタン氏曰く「人間に使用できるようなものではない」とのことだ。今回の成功をもってただちに死の定義を書き換える必要はないものの、真剣な議論をする時期が訪れたことは間違いない。
(編集部)