平成のお笑いの”転換点”はアノ時だった、評論家がガチ指摘! 一歩間違えたら本当にヤバい人が…『教養としての平成お笑い史』発売記念キック×ラリー遠田対談!

平成のお笑いの”転換点”はアノ時だった、評論家がガチ指摘! 一歩間違えたら本当にヤバい人が…『教養としての平成お笑い史』発売記念キック×ラリー遠田対談!

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 お笑い評論家のラリー遠田の新刊『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)が発売された。この本では、14の事件を題材に、平成のお笑いの歴史を振り返っている。本の発売を記念して、著者であるラリー遠田とサイキック芸人のキックの特別対談が行われた。第3回では、キックが平成に活躍した芸人たちの特徴を九星気学で読み解いてみせる。

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ラリー いま活躍している芸人の人生をさかのぼっていくと、売れているときにはいい思いをしているかもしれないけど、実際には苦労の連続なんですよね。

キック 本当にそうですよ。逃げたいくらいのしんどい思いをしていると思います。特に「笑い」って、こんなにつらいものはないですからね。期限が決まっていて人前でネタを見せなきゃいけなくて、新ネタができなかったらノイローゼになるし。ウケなかったら自分も嫌だし、同じ芸人にもそれを見られているわけだし。そういうプライドもあると思うんですよ。今はどう生き残るかっていうことの戦国時代ですよね。ネタだけやればいいもんじゃない、っていうことで見せ方を変える人もいるでしょうし。

 常に売れ続けている人って何も変わってないように見えるけど、実は相当マイナーチェンジしながら波に乗っているんですよ。荒波が過ぎ去るのをじーっと待っているときもあるし。

ラリー そうなんですよね。波が来ていないときにいかに待てるか、っていうのも大事なんでしょうね。カップヌードルとか、昔からある商品ってあるじゃないですか。「昔から変わらない味」とかよく言われるんですけど、時代に合わせてちょっとずつ味は変えていると思うんですよね。

 たけしさんもさんまさんもそうじゃないですか。タモリさんなんて、昔は地方差別ネタとか悪意のある文化人や外国人のものまねとかをやっていて、本当に怪しくて悪い感じの芸人だった。でも、今はなぜか「人のいいおじいちゃん」みたいになっている。実際はすごく変わっているのに、変わっていない感じを出していますよね。

 逆に言うと、ある時期にパタリとテレビに出なくなってしまう人っているじゃないですか。そういう人が久しぶりにテレビに出ると、やっぱりすごくズレているんですよね。どうしても違和感があるんです。ちょっと空回りしているっていうか、時代の空気が読めていないみたいになってしまう。あれはずっと出ていないからだと思うんですよ。出続けていたら何となく分かるじゃないですか。1回休むと感覚が分からなくなっちゃうんでしょうね。

キック ヒロミさんは復活しましたよね。

ラリー ヒロミさんはたぶん、木梨憲武さんとか藤井フミヤさんとか、芸能人の方々との普段の付き合いはあって、芸能界から完全には降りてなかったんですよね。だから復活できたんじゃないかな。大会には出ていないけどトレーニングは続けていた、みたいな。

キック 普段からスパーリングしていないと本番で戦えないですもんね。

ラリー この本で書いた中で、時代の転換点として大きかったのは有吉弘行さんと品川祐さんの「おしゃクソ事変」だと思うんですけど。

キック このお二人の関係性は面白かったですね。まさに明暗が分かれたっていう。

ラリー その頃、「ひな壇芸人」っていう言葉ができて、『アメトーーク!』が当たっていて。ひな壇芸人がちょっとサラリーマン化してきたみたいな風潮があったんですよね。あそこに席があればとりあえず毎週出られる、みたいな。そこで品川さんが実力を発揮して、ちょっと調子に乗っているように見えていたじゃないですか。それを地の底から出てきた有吉さんがバッサリ斬り捨てた。これでみんなが笑ったんですよね。テレビを見ていて誰もがうすうす「品川さんってちょっとうっとうしいな」って思っていたから。

キック 九星気学で言うと、有吉さんが八白土星で品川さんが一白水星なんです。土剋水って言って、土と水は混じり合わなくて相性が悪いんですよ。水が流れるのを土が止めますよ、っていうことなので。歴史に残る大事件ってやっぱり相性が悪いところから生まれるんですよね。

ラリー この時期の有吉さんって、いろいろな人に手当たり次第に噛み付いていてすごかったですよね。当時、僕が印象に残っているのが『リンカーン』の企画で有吉先生の授業みたいな企画があって、有吉さんが先生っていう設定で、ダウンタウンを含むレギュラー陣を片っ端からボロクソに言うんですよ。もちろんそういう企画だからっていうのもあるんですけど、松本(人志)さんにも容赦なくガンガン行って、楽屋に加湿器をいっぱい置いているのをイジって、蒸気で顔が見えないときもあるから「お前、肉まんか」って言ったりしていて(笑)。

 あの頃、後輩芸人が松本さんをイジるのって、冗談でもあんまりなかったじゃないですか。それができるっていうのも本当に捨て身っていうか、「いつ死んでもいい」ぐらいの覚悟でやっていた。それが面白かったんですよね。

キック しかも腕があるから、むやみに傷つけるわけじゃないんですよね。「あだ名」芸のときもすごかったですからね。受けなきゃいけない戦いが毎回あって、それを全部勝ち抜いていったわけですからね。

ラリー 有吉さんが復活するのはあの時点で想像できたけど、ここまで行くとは思わなかったですよね。冠番組をたくさん持って、4月からはNHKでもレギュラーが始まって、全局にレギュラー番組があることになりますからね。こんなことになるか、っていう。

キック それだけ運を貯めてきたんだってことですよね。よっぽどつらかったんだと思いますよ。猿岩石でヒッチハイクをやっていたときにも、テレビが入っていたとはいえ、めちゃくちゃつらいじゃないですか。

ラリー 餓死しそうになったりしていますからね。あと、有吉さんは猿岩石を解散した後で仕事がなくなって落ちたときに、ライブとかにも一切出なかったんですよね。1日中、家でじーっとしているって、相当つらいと思うんですよ。でも、そんな生活の中でテレビだけは見ているんですよね。テレビにひたすら愚痴と悪口を言う。一歩間違えたら本当にヤバい人じゃないですか。

 でも、そこで運を貯めたのが結果的に良かったんでしょうね。普通だったら、そこでお芝居をやったりして、ちょっと違う方向に走りがちじゃないですか。でも、有吉さんはそれをやらないで芸人として踏みとどまったんですよね。

キック 運を散らさないってことなんでしょうね。パチンコで言ったら、1000回転くらいの台をずっと打ち続けてますもんね。普通だったら台移りますよね。

 あと、この本に出てくるほかの芸人さんも、九星気学で見ていくとなかなか面白かったです。明石家さんまさんとビートたけしさんは九紫火星なんですよ。九紫火星っていうのは華やかな人、華がある人。そうやって見ていくと、芸能界でそれなりに成功する人って偏っているんです。

 笑福亭鶴瓶さん、上岡龍太郎さん、山田邦子さんは四緑木星。人付き合いが上手な人です。鶴瓶さんなんかまさに分かりやすくて、一般人の方と触れ合ったり、話を聞いたりするのがお好きじゃないですか。ああいう社交性がある感じが四緑木星の特徴なんです。

 タモリさんは一白水星。自分の中に引き込んでいくっていう作用がある人なんですけど、これは「水」なんです。

 たけしさん、さんまさんは九紫火星だから「火」で、タモリさんは「水」。だから、3人でゴルフをしていると、タモリさんだけあの2人とやっていることが真逆じゃないですか。火と水で対照的なんですよね。

 又吉直樹さんも品川祐さんもタモリさんと同じ一白水星です。自分のフィールドに引き込んでいくタイプ。タモリさんの『タモリ倶楽部』もまさにそんな番組ですよね。

ラリー だから又吉さんは小説を書いたり、品川さんは映画を撮ったりするんですかね。

キック 自分の芸術に引き込むっていうことなんでしょうね。有吉さん、島田紳助さんは八白土星。八白土星っていうのは山っていう意味があるんで、ボスなんですよ。サンドウィッチマンの2人は両方とも八白土星ですね。だから後輩の面倒見がいいんですよ。事務所でも後輩のことをすごく世話しているって聞きますからね。

 萩本欽一さんは五黄土星。ど真ん中のリーダーっていう意味があるんですけど、まさにそんな感じですもんね。そうやって見ていくと、芸能界の中では二黒土星とか三碧木星ってあんまりいないんですよね。やっぱり偏っている気がします。

 それで見ていくと、僕はやっぱりスターになれないなと思って。僕は三碧木星なんです。これは好奇心が旺盛でちょこちょこ動くんだけど、集中力が続かないっていう。あと、基本的に誰の言うことも聞かないんですよね。

(取材・文=ラリー遠田)