アジアで巨大地震を引き起こす“謎の塊”が新発見される! プレートでも火山活動でもない「第三の地震」メカニズムとは!?

アジアで巨大地震を引き起こす“謎の塊”が新発見される! プレートでも火山活動でもない「第三の地震」メカニズムとは!?

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 地震発生のメカニズムについて、これまでにない新説が登場している。プレートテクトニクス理論でも火山活動でも説明できない地震は、巨大な岩の塊である“岩塊(がんかい)”によるものであるというのだ。

■ヒンドゥークシュ山脈一帯で地震が多発

 アフガニスタンからパキスタン西部まで延びる全長800キロにも及ぶ雄大な山岳地帯がヒンドゥークシュ山脈である。

 地球の表面を覆う硬い岩盤である“プレート”が沈み込む海溝が複雑に分布する立地に位置し、活火山も多い日本で地震が多いのはある意味で頷けるが、実は内陸部にあるこのヒンドゥークシュ山脈一帯でも地震が頻発している。マグニチュード4以上の地震がなんと年に100回以上も発生する世界でも有数の地震頻発地帯なのである。

【その他の画像はコチラ→https://tocana.jp/2019/05/post_97418_entry.html】

 ヒンドゥークシュ山脈一帯で多発する地震の震源の深さは70〜300キロメートルで中深度地震(intermediate-depth quakes)と分類されているが、これまでこの地の地震発生のメカニズムはよくわかっていなかった。

 一帯にはメジャーな断層線(fault line)もなく、ユーラシアプレートとインドプレートが接触するクラッシュポイントからも比較的遠く離れている。したがってプレートテクトニクス理論で説明するには無理があるのだ。ではなぜこのヒンドゥークシュ山脈一帯で地震が頻発しているのだろうか。

 米コロラド大学ボルダー校とモンタナ大学の研究者による合同研究チームが、この4月17日に学術誌「Tectonics」で発表した研究はこの謎に取り組んだ意欲的なもので、この一帯の地震発生の原因は、山脈の地殻深くに食い込んでいる巨大な岩の塊である“岩塊(Blob)にあることを示唆している。岩の塊が地震を引き起こすとはいったいどういうことなのか?

■“第三の地震”発生のメカニズムとは?

 硬い岩肌の山岳は地表から上空にそびえているばかりでなく、同じくらいのボリュームで地中に向かっても延びているのだ。水面下にもかなりのボリュームの氷がある北極の氷山のように、山は地中深くにも“そびえて”いるのである。

 イメージとしては菱形のダイヤモンドを砂場に立ててみた様相になるだろうか。地表面から上下に延びている硬い岩の塊がこのヒンドゥークシュ山脈ということになるのだが、その地下方向に先細りになっていく“山頂”の先端からは地熱でドロドロになった“水滴”がさらに地中深くへと垂直に滴り落ちているのだと研究チームは説明している。

 滴り落ちた“水滴”はいずれ地球のマントル層にまで到達する。暑く熱したフライパンの上では、たとえお湯の一滴であってもこぼれ落ちれば“ジュッ”と激しく焼けて瞬時に水蒸気に変わる反応を見せるが、それと同じように山脈から滴り落ちた“水滴”がマントルに接触した時に水蒸気爆破に類する反応が引き起こされて地震の原因になるということだ。

 この地で発生する地震の震源の深さの最も多い範囲が地下160〜230キロメートルであることも、この研究チームの仮説を裏付けるものになる。“水滴”とマントルの接触地点はこのレンジの深度なのだ。研究チームによれば、ヒンドゥークシュ山脈でこのタイプの地震が起き始めたのは1000万年も前にさかのぼるということだ。

 またこのタイプの地震はヒンドゥークシュ山脈だけでなく、チェコ共和国から東のルーマニアにまたがる、1500キロメールにも及ぶカルパティア山脈でも見られる現象であるという。

 プレートの移動でもなければ火山活動でもない、新たに見つかったこの“第三の地震”が世界のほかの地域でも起こっていないのかどうか気になるところだ。

(仲田しんじ)

※画像は、ヒンドゥークシュ山脈 「Wikimedia Commons」より